お日さまみたいな温かい君に包まれて
「おめでとう~!」と一足先に祝ってもらった。


万年成績トップな上に、高校の首席入学者でもある東馬。

生徒達からの人気はもちろん、先生達からも高い評価を得ているはず。


天狗になるのもおかしくないのに、『自分は天才じゃないから』と、一切調子乗らずにコツコツと勉強に励んでいる。


1年の頃から、毎回テストがある度に勉強を教えてくれたり、部活で作った服をプレゼントしてくれたり……と、雪塚さんと同様、とても優しい。


我ながらいい友を持ったなって思う。



外に出ると、8頭身はあるであろう、細身の女子生徒が校門の近くでソワソワしていた。

隣にいる東馬をチラッと見ると、これでもかってくらい口角が上がっている。


そう。彼の視線の先にいるモデル体型の女子生徒こそが、妹の実玖である。



「あ、東馬先輩! お疲れ様です!」

「お疲れ様~。遅れてごめんね」



視線に気づいた実玖が満面の笑みを浮かべた。

周りにいる生徒達の注目を集めつつも、気にせず会話を続ける2人を少し離れたところで見守る。


……1年前と別人だな。


実玖は入学当初、ものすごく引っ込み思案で男子が苦手だった。

去年の対面式で東馬に会った時は、俺の後ろに隠れてビクビクしてたのに……今じゃすっかり社交的だ。
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