お日さまみたいな温かい君に包まれて
ピリピリした空気の中、雪塚さんがちょっぴり考えた様子で口を開いた。



「あ~、それと迷ったんだよね。って、よく知ってるね。虫好きなの?」

「いや……ゲームに出てきたから覚えてただけで。虫はあまり好きじゃないんだ」



苦い笑みを浮かべる雪塚さん。


まぁ、女子は虫嫌いな人けっこう多いからな。
ってか、ゲームするんだ。めっちゃ意外。

テレビゲームかな? スマホゲームかな?

切れる頭脳と巧みな操作でバンバン敵倒してたりして。




「────as you see~は、『見てわかるように』という意味です」



5時間目。

いつものように英語の授業を受けているが、上の空で全然頭に入ってこない。


というのも。



「ではここの訳を雪塚さん……あ、いなかったっけ。なら、草山さんお願いします」

「はい」



昼休みから雪塚さんの姿がないのだ。

クラスメイトが言うには、体調が悪かったから保健室に行ったんだって。

朝からあまり調子が良くなかったらしい。


今朝来るの遅かったもんな。

雨も降っていたし、それに冷房も効いているから悪化してしまったんだろう。

季節の変わり目だし、充分あり得る。
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