お日さまみたいな温かい君に包まれて
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授業が終わった後、迷いもなく教室を出て、今、保健室のドアの前にいる。

頼んでもいないのに見舞いだなんて、図々しいかなって思ったけど……友達だし。


友達が元気じゃなかったら心配するに決まってるし!
ちょっとだけ、様子見て帰ればいい。



「……森先生がお母さんだったら良かったな」



中から話し声が聞こえ、ドアにかけた手がピクッと揺れた。


森先生というのは、保健室の先生のこと。
年齢は50代半ばで、俺の親よりも年上で、生徒達から安心感があると評判の先生だ。



「失礼しまーす」

「あ、清水くん」



恐る恐る中へ入ると、先生と雪塚さんがおーいと手を振って迎えてくれた。

ソファーに腰かけている彼女に体調を尋ねる。



「クラスメイトから話聞いたよ。大丈夫?」

「うん、平気。もう回復したから」



ニコッと笑って答え、よいしょと立ち上がった彼女の顔を見つめる。


本当に大丈夫なのかな……?
なんか目の下にうっすらクマがあるんだけど。
あまり眠れてなさそう。


っていうか、さっき何話してたんだろう。

「先生がお母さんだったら~」って聞こえたんだけど、ケンカでもしたのかな。



「無理しなくていいんだよ? もう少し休んでいったら?」
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