お日さまみたいな温かい君に包まれて
「────8、9、10!」



夕食後、ベッドに横になって背筋のトレーニング。

ふぅ……いい感じに背中が疲れてきた。あともう1セットいこう。



──コンコンコン。



「お兄ちゃん、ちょっといい?」

「んぁ? 何?」



海老反りしたまま顔を向けると、ドアの隙間から、少し気難しい表情を浮かべた実玖の顔が見えた。

眉間にはうっすらシワが寄っている。


なんでそんな顔して……まさか、今朝東馬をいじったことがバレたか……⁉


内心緊張しつつも体勢を整え、その場に行儀良く座り、実玖を部屋に入れて話を聞く。



「どうした? 何か悩み事?」

「いや、悩みってほどでもないんだけど……」



ベッドの上と床の上で、なぜか正座で向き合う俺達。

説教しているわけでもなければ、されているわけでもない、とても不思議な光景である。


口をモゴモゴと動かす実玖に、胸の鼓動が速くなっていく。

あぁもう、早く言えよ……!



「……雪塚先輩、最近どんな感じ?」

「えっ?」



予想と反する質問に間抜けな声が出てしまった。

なんだ、雪塚さんの話かよ。
じゃあなんで暗い顔してるんだ?

まさか、ケンカでもしたのか……?
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