お日さまみたいな温かい君に包まれて

手作りクッキー

帰宅して早々、部屋着に着替えてエプロンを着用。

棚と冷蔵庫から材料を取り出し、クッキーを作る練習に取りかかる。



「あら? 何か作るの?」

「あぁ、クッキー作るの」



物珍しそうに眺める母。

それもそうか。
俺がキッチンに立つのは、お湯を沸かす時くらいだもんな。



「お母さんが作ったやつ、東馬と雪塚さんが絶賛してたから。コツがあるんなら教えて」

「そうなの? それならたくさん作らないとね!」



すると母は、俺が取り出したボウルよりも、さらに大きいボウルを取り出した。

……しまった。変なスイッチ押しちゃったかもしれない。



「今年の夏休みも東馬くんと遊ぶの?」

「んー、オープンキャンパスに行くって言ってたからなー」



隣で小麦粉をふるう母に返答した。

東馬は大学か専門学校かで迷っているらしく、夏休みにどっちも見学しに行って、新学期が始まるまでには決めると言っていた。


雪塚さんはというと、最初は親に就職を勧められたものの、やっぱり進学したいと強く思ったようで。

両親を説得して、なんとか進学することを許してくれたんだそう。


勉強を頑張っていたのも、特待生を目指し始めたからだって。

優秀じゃないからって謙遜してたけど、雪塚さんならきっと受かると思う。
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