お日さまみたいな温かい君に包まれて
「元気だなぁ。若いっていいなぁ」

「ちょっ、まだ私達も若いよ! っていうか、清水くんも元気じゃん。体育の時間、めちゃめちゃ張り切ってるし」

「え、俺そんなに張り切ってた?」

「うん。瞳がメラメラ燃えてた」



互いに顔を合わせて笑い合う。


きらびやかな場所とか、ものすごく美味しいごちそうとか、そういう非日常を感じるのも楽しいんだろうけど。

こういう風に、のんびりひなたぼっこして、たわいもない話で盛り上がるのも悪くないなぁ。


雪塚さんとは、何気ない日常の中で、穏やかな時間を過ごしてる時のほうが楽しく感じる。



「あ、そうそう、先輩から教えてもらったんだけど、3年生になったら体育の授業でダンスやるんだって」

「へぇ~! 楽しそう!」



わ、めっちゃはしゃいでる。

成績優秀だけど、体育はあまり得意じゃないって言ってたっけ。

競い合うものよりも、ひとりで楽しむみたいなものが好きなのかな?



「ねぇ、雪塚さんは進路どうするか決めた?」

「あー……まだ。親は就職を勧めてくるんだけど、私は進学したいなって思ってて。でも、お金がかかるから、なかなか言い出せないんだよね」



進路の話題に移った途端、彼女の表情が少し苦い笑みに変わった。

お金の問題か。確かに学費高いもんな。
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