お日さまみたいな温かい君に包まれて
「あ、おはよう景斗」

「お、おはよう……」



キッチンにはエプロン姿の母。

そして、ダイニングテーブルの上には、焼き上がった大量のクッキーがズラリ。


稼働しているオーブンを覗くと、ハートの形をしたクッキー達がほんのり茶色に色づいていた。


もう焼いてんの⁉ 早くない⁉

まだ6時なのにこの量……お母さん一体何時に起きたんだ⁉



早起きしたものの、今焼いているのが最後の生地だったらしく、残念ながら型抜きはできなかった。


つまみ食いしたかったけど、まずはご飯が先と言われ、しばらく味見はおあずけ。

早く食べたかったので、朝食の準備を手伝うことに。



「あっち……! おい油! ピンピン飛ぶんじゃねーよ!」

「うるさい。静かに作って」



淡々と大量の卵をかき混ぜる母を横目でチラリ。

くっ、涼しい顔して!
昨日はニヤニヤ笑ってたくせに!



「ほら、手止まってる」

「はいはい」



飛んでくる油の恐怖に耐えながら、野菜が焦げつかないよう菜箸で混ぜていく。


はぁ……料理ってこんなに大変だったのか。

悔しいけど、お母さんすげーな。母は強しってやつだ。
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