お日さまみたいな温かい君に包まれて
「本当にごめん……」

「ううん、私が受け止めきれなかったのが悪いんだから謝らないで」



顔上げた雪塚さんと目が合い、心臓がバクンと大きな音を立てた。

同時に石鹸の香りがふわっと漂ってきて、さらに脈拍数が上昇していく。


っ……何ドキドキしてんだ俺!

いくら目と鼻の先に顔があったからって、こんな時に不謹慎すぎるぞ……!



放課後。

席に座って、窓ガラスに張りついては流れ落ちる雨粒をぼんやりと目で追う。


ゴロゴロゴロ……。


遥か遠くで雷の音が聞こえ、ピクッとまぶたが揺れた。

はぁ……早く収まらねーかな。



「清水くん、大丈夫?」

「ん?」



雨音に混じって声が聞こえ、振り向くと隣に雪塚さんが立っていた。



「大丈夫って……何が?」

「雷。怖いって西尾くんに聞いて。そばにいてあげてって言われたの」



雨音に掻き消されそうな小さい声が返ってきた。

教室を見渡して東馬の姿を捜すも、席に荷物はなく、先に帰ったようだ。


そういえば、この前も雨宿りしてた時、あいついなかったっけ。

電車が止まるといけないから急いで帰ったんだろう。
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