二度目まして、初恋
始まりと終わり
くらりと眩暈がした。
「ん、で?」
「え?」
「携帯、さっきから鳴ってっけど」
「……いや、それどころじゃないでしょ」
頭痛に、腰痛。下腹部の何とも言えぬ違和感。
視界いっぱいに広がる見知らぬ光景に、裸の己と同じく裸の男。
「ずっと同じ奴からかかってきてっけど、彼氏じゃねぇの?」
「いいから……ちょっと、黙って」
だらり、だらだら。冷や汗を大量に流しながら、記憶を遡る。
昨日。そうだ、昨日は、幼馴染みともいえる同郷の友達の結婚式があって、そのあと二次会にも行ったんだ。
新婦はもちろん、新郎も同郷だ。故に、当然、招待客も親族と職場の人間を除けばそのほとんどが同郷なわけで。気心の知れた顔ぶれにテンションが上がったのも、もちろんあったのだろうけれど、式のあとの二次会に行く行かないで、三つ下の彼氏と口論になったのも、この現状の原因と言えるだろう。
二次会に行きたい私と、行って欲しくないと言う彼氏。結局、「勝手にしろ! もう知らねぇ!」と通話をぶち切られて、「はぁ? 言われなくても勝手にするわ!」と意地を張ってこれでもかと酒を飲んだ。
飲んで、飲んで、また飲んで。それから、何か、彼氏の愚痴をやたらめったら撒き散らしていたような気がする。それで、それで。
「……うわ、も、私、最悪」
思い出した。
「あ? 彼氏じゃねぇ男とセックスしたからか?」
辛ぇなら、俺が慰めてやろうか?
そんな、くそったれな口車に、私はへらへら笑いながらのっかったんだ。
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