二度目まして、初恋

 着信があったのは、ちょうどお昼頃。二時間とちょっと前だった。表示されている名前は【琥太郎】。まさかと否定したそれがそこには記されていて、どくり、またしても大袈裟に心臓が揺れる。
 何で。どうして。
 浮かんで、浮かんで、増え続ける疑問符。考えたところで正解なんて見つかりはしないのだけれど、ぐるぐる、ぐるぐる、思考は巡る。

「……おい」
「……っ、え、」
「……どうした、何かあったんか」

 だから、だろうか。
 視界を覆った影に気付かず、頭上から落ちてきた音にびくりと肩がはねる。テーブルに携帯を置き、がたりと椅子を鳴らして左斜めに座った染谷の視線が、私の手中へと落ちた。

「あ、や……えと、私も、電話してくる……何か、かかってきてたから」

 咄嗟に携帯を胸元に引き寄せ、ディスプレイを見えないようにしてから、席を立つ。
 別に見られてもどうってことはないのだけれど、何故だか、手が動いた。

「……おう」
「さ、先に、食べてて、いいから」
「……おう」

 どこか不機嫌そうな、今日一で素っ気ない染谷の返答を聞きながら、携帯だけを持って出入り口へと足を向けた。
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