二度目まして、初恋
呼吸が、止まりかけた。
「……ずっと……って、そんな、私は、」
「付き合ってるときは俺が好きだった? んなわけねぇの、気付いてるから……いいよ、変な気ぃ使うなって」
「気なんて、」
「使ってねぇなら、相手のこと、教えてくれねぇ?」
「……なん、で、」
「普通に気になってるから。あと、知る権利、あると思うし」
かたり、まだ半分ほど残っているチューハイの缶をテーブルに置いて、息を吸って、吐く。己を落ちつかせるために。
「俺の予想はさ、」
「……」
「ソメタニ……? か、ソメヤ、って名前の奴だと思ってんだけど」
しかしそれは、彼の口から吐き出された固有名詞によって無駄な努力というレッテルをべたりと貼り付けられる。
「……っ」
「お、当たり?」
詰まる、言葉。揺れに揺れる、心臓。
そんな私の反応を見て、ははっと笑いながら、琥太郎は三本目のビールをあけた。
「……なん、で、」
「……付き合い始めた頃に、一回だけ見せてくれた中学んときの卒アル」
「……」
「それ見てたとき様子が変だったから、ずっと気になってて……奏海に黙って何回か勝手に見てた」
「……」
「んで、何となく、こいつなんだろうなって、思ってて」
「……」
「だから、嫌だった。奏海が同窓会に行くの」
「……っ」
「そいつに会いに行ってんだろうな、って思ったら、もうそうとしか思えなくなった」
反論は、できなかった。