二度目まして、初恋
目的がそれだけだったわけじゃない。あのクラスは特別仲が良かったから、ただ単純に友人に会いたい気持ちだってあった。だから、家族との私用だとか、仕事での付き合いや、社会人になってからの友人達との付き合いが重なったときは、そっちを優先することだってあった。
だけど、と。思って、そこで、はたと気付く。
同窓会は最優先じゃなかった。それは紛れもない事実だけれど、私は彼の、琥太郎の、「行って欲しくねぇ」という言葉を優先したことはなかった。「何で?」「何でも。とにかく行って欲しくねぇ」「意味分かんない」毎回、そんなやり取りのあと琥太郎が拗ねて、その話は終わっていた。
否、今になって思えば、琥太郎が諦めていたんだろう。何を言っても無駄だ、と。
「なぁ」
「っ」
思考の波から、意識が浮上する。
「そいつのこと、今でも好き、か……?」
つるりと、視線の先にある瞳の表面を光の筋が滑って、それは柔く笑む。
「……す、きじゃ、ない」
声は、私の声は、きちんと出たのだろうか。自分でも確証が持てないくらいには、それは震えて、細くて、小さかった。
「んな顔で言われても」
「……え」
「説得力、ねぇよ」
ははっ。
どこか自嘲染みた琥太郎の笑い声が、馬鹿みたく鼓膜を揺らす。
ごめん。
思わず出そうになった三文字を飲み込んで、ぎちりと奥歯を噛みしめた。
「未練たらたらだな」
眼球に力を入れて、瞬きをしてもそれが落ちてしまわないよう、ゆっくりと視線を下げる。
「奏海も、俺も」
「っ」
視界を占める、テーブルと空き缶。頭上から降ってきたその言葉に、ずくりと心臓が反応を示した。