二度目まして、初恋
意味、分からないんだけど。
「っ!?」
そう言い返して、どうにか押し退けるつもりだった。でも、できなかった。上に押しやるのは無理でも、横へ押し倒すくらいはできると思っていたのに。
「な、やっ、」
「やめねぇ」
力がどうのではない。もちろん、それもあるのかもそれないけれど、僅かにあいていた互いの距離をゼロにされたことと、髪が重力に拐われたせいで晒された首をべろりと舐められたことが最たる原因だ。
「……っなん、で、」
「あ? 何で? だ?」
「……私……っ、そん、な……恨まれる、ようなこと、した……?」
ぐにゃり、視界が歪んで。ひくり、喉が震えた。
それこそ最初は、お酒のせいだったのだろう。お互い酔っていて、お互いに非があった。でも、これは、今回は、違う。
何が目的なのか。女性といるところを見られて、からかって遊んでいたことに気付かれたと思って自棄になっているのだろうか。バレたと思っているのなら、さっさとやめればいいのに。最後までやり遂げないと気が済まないのか、自分で終止符を打ちたいだけなのか。
女性をからかって、弄んで、陰で笑ってるようなやつの気持ちなんて、考えたところで理解できるわけもない。
「……っ、も、やだ、」
ああ、ほんと、馬鹿だなぁ、私。
「……か、えって、帰ってよ……やだ、もう……関わりたく、ない、」
最悪だ。最低だ。
ちゃんと、彼のことをそう思えるのに、彼のことをこれっぽっちも嫌いになれない。