しきべとのし
 しきべは、花、紫式部、のしはバラン、二人は、結ばれていた。二人は、女だった。髪色は、何処と無く紫色をしていてー、その瞳もまた、紫色をしていた。
 美しいー、そう言われ愛された事もあった。二人は、結ばれていた。のしは盛んにも花を育て、何故か泣いていたと言う。
 美しや、さぞ、美しや。そう言って振り返ってしきべがいた。
 抱き合い、いずれ死ぬんだろ、そう、言った。二人とも花のミタマであった。女は花のミタマが多いそうで、この世に人でいられたら現人だと諭された。
 笑って、権現言いますか。そう言った。のしって変ね、しきべって変ね、そう、まいどの事の様に話す二人は、結ばれた事にしたいと言った。
 救われないー。女は、いずれ死ぬのよ。姫、そう言われたら、既に一日だけ閻魔堂に赴き、消えるのよ。
 そして、一日花となり、また、消えるのよー。泣かせて、その、今は美しいでしょう?それすらも言えない。
 大因業、生きていた罪ー。生きていただけで罪とされ、笑って愛くるしいだけで殺されるー、泣いてまたもや殺される。
 そんなにも、幸せなんて無かったの。笑ってー?私達は今は天使なのよ。その、ただの女の身でー?笑いじゃくった。
 もう、戻れそうも無かった。しきべの花の上にのしは抱き仰た。
 その美しさ如何、そう嘯いて散った二人は花だった。それはありふれていて、誰もがいい子ね、そう言ってくれた。笑った。笑った数だけ、咲けた。紫式部とバランの逸話であった。
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