桜の木の下で、また君を待っている
0 卒業
「私、ちょっと外出てくるね」
「もうすぐ下校の放送の時間だから、早く帰ってきてくださいよ」
後ろから山河陽太の声が聞こえる。
私、三笠桜は1つ年下の注意を聞き流しながら、放送室の外に出た。
3月9日、3月といえど17時の風は冷たく、私の頰をひんやりとした風が撫でていった。
私は外履きに履き替えて、校庭を横切り、隅まで歩く。
その先には、校内で一番大きな桜の木と、小さなベンチがあった。
「もう、卒業か……」
私の呟きに応じるように桜の木が揺れる。
夕方のそれは少し寂しくて、私は静かにベンチに座った。
あと1週間で卒業式。
今朝も、全校で6年生を送る会が開かれた。
中学生になる楽しみももちろんあるけど、やっぱり6年間親しんだ校舎を去る寂しさは大きい。
様々な木が植えれている中庭に色とりどりの花壇、陽当たりのいい図書室、広い校庭、いつかの卒業生の作った遊具や絵。
そして、この桜の木とベンチ。
この校舎には、他にもたくさんの素敵な場所がある。
その全てが、私たちの居場所でなくなるのは、なんだか味気ないな、と思う。
「もうすぐ下校の放送の時間だから、早く帰ってきてくださいよ」
後ろから山河陽太の声が聞こえる。
私、三笠桜は1つ年下の注意を聞き流しながら、放送室の外に出た。
3月9日、3月といえど17時の風は冷たく、私の頰をひんやりとした風が撫でていった。
私は外履きに履き替えて、校庭を横切り、隅まで歩く。
その先には、校内で一番大きな桜の木と、小さなベンチがあった。
「もう、卒業か……」
私の呟きに応じるように桜の木が揺れる。
夕方のそれは少し寂しくて、私は静かにベンチに座った。
あと1週間で卒業式。
今朝も、全校で6年生を送る会が開かれた。
中学生になる楽しみももちろんあるけど、やっぱり6年間親しんだ校舎を去る寂しさは大きい。
様々な木が植えれている中庭に色とりどりの花壇、陽当たりのいい図書室、広い校庭、いつかの卒業生の作った遊具や絵。
そして、この桜の木とベンチ。
この校舎には、他にもたくさんの素敵な場所がある。
その全てが、私たちの居場所でなくなるのは、なんだか味気ないな、と思う。
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