ONLYYOU~赤ちゃんのパパは脳外科医、愛してはいけない人を愛してしまいました。~
和寿さんは私にコーヒーを淹れてくれた。
可愛い花柄のカップとソーサー。
カップの内側にも小花が描かれていた。

「可愛いカップですね…」

「母の趣味だ」

「院長夫人の趣味ですか…」

私はコーヒーを啜りながらカップの模様を見つめる。

「この上の階には槇村先生夫妻が住んでいる」

「えっ?あ・・・」

「東亜まで車で七分だからな…槇村先生なんて…産科だから…いつ何時お呼びがかかるか分からないから…」

「でも、槇村先生…清掃員の間では評判いいんですよ…ちゃんと挨拶したら、挨拶してくれるし。労いの言葉も掛けてくれます」
「まぁな…アイツ…誰にでも愛想いいから…」

「…医者って…傲慢な人ばかりで…私達のコトなんて見下してると思っていたけど…槇村先生は人によって態度を変える人じゃないですね」

「莉子はさっきからマキの話ばかりだな…もしかして…莉子はマキ狙いだったの?」

「いえ…私は和寿さん狙いです」

和寿さんは私の言葉に白い頬を紅くする。

「莉子に一本取られた気分だな…」

和寿さんは参ったように笑い、コーヒーを喉に通した。

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