青い星を君に捧げる【壱】

「い”だい”!!!はなじでええぇぇぇぇ~~~」

痛がる佐久間くんに同情し止めに入ろうと口を開いたとき、手首が捕まれ振り返る。そこには呆れ顔をした黒鉄くん。

「こいつら…日常的にやってんだ。……行くぞ」


スラっと長い脚でバイクを跨ぐ黒鉄くん。私にも後ろに乗るように顎で指示した。まだ背後でギャーギャーと騒いでいる二人と同じだと見られたくなくて、すぐにバイクに跨った。

「随分……すんなりと乗るんだな……」

女子なのに車高が高いこのバイクに怖がりもせずに乗って見せた私を疑っているのだろうか。

「試しているのか何なのか知らないけどバイクに関しては仲のいい親戚のお兄ちゃんに小さいころからよく後ろに乗っけてもらってたの」


相槌も返事もあるわけでもなく、バイクをふかせた。掴まってろ、とつぶやきが聞こえ黒鉄くんの制服を遠慮がちにつかむ。


「……振り落とされたいのか?」


「いやぁだって、出会ったばっかりの得体のしれない女につかまれたくないでしょう?」

突然私の腕を黒鉄くんが掴み、自分の腰に手を回させた。

「えっ…」

「……得体のしれないやつだと自覚してるのは褒める……が、バイクの乗り方はまだまだだ……」


その時初めて横顔だったけれど黒鉄くんの口角が上がったのを見た。驚いて見つめ続ける私の視線が鬱陶しいのか、黒鉄くんは再び呆れ顔に戻る。そして私の腕をつかんでいた手を放し、私の顔をぐいと押しのけた。

「ぐぬっ」

「……やっぱ振り落とされとけ」


辛口に言われたものの逆により強くつかんだ。

「へへっ!!!しゅっぱ~つしんこ~!!!」

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