青い星を君に捧げる【壱】
匡は気を失っている湊の顔を覗き込んで首を傾げる。


「こいつ…青龍にいたやつか」


「そう。何でか丘にいてさ。この姿で見つかるわけにはいかなくて」


水分を含んだ髪先を指でくるくると巻き付ける。服もびちゃびちゃだし早く帰ろう。


「匡、湊のこと頼んでもいい?」

「わかった。病院にでも放り込んどく」


帰ろうと湊の隣から立ち、服の端を掴んで水分を切った。


「……な」


その時当分意識は戻らないだろうと思っていた湊がうっすら目を開いた。


「いくな」


弱々しく私に手を伸ばす。でもその手を掴めない。今の私は貴方の知ってる私じゃないから。


「ばいばい」


そういうと同時に湊の意識は再び暗転し、上がっていた腕は力無く落ちた。


「容赦ないな相変わらず」


体の大きな湊を重そうに担ぐ匡。そしてポッケから出したスマホでどこかに電話をかけている。


「迎えの車呼んだから、先帰っといて。次は問題起こすなよー」


「あんたねぇ人をトラブルメーカーみたいに言わないでよ」


「なんだ違ったのか」


「違うに決まってんでしょ!!」

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