青い星を君に捧げる【壱】
夏休みが明けて9月に突入した。青龍幹部たちは登校こそはするものの授業を受けない休暇前とは平和(?)な日々を過ごしていた。


……過ごしていたかった


あれから。私が丘で湊と会ってから。何だか私の方が気まずくて、一方的に湊を避けていたりする。


「なあ、この「ごっごめん!ちょっとトイレ!!」


「おいこれ「暇だなぁ〜彼方何やってんの!!」


「お前最近俺のk「あー教育実習の先生に呼ばれてるんだった!」てめ!待てや!!」


ことあるごとに理由をつけて避け続けている。だって…あんなことして合わせる顔がないじゃん。


教育実習の先生に呼ばれてるのは本当で、職員室までの廊下をとぼとぼ歩く。すれ違った時の私の落ち込み様を見て下っぱくんたちが励ましてくれる。


ごめんね…君たちの上の方、最近不機嫌なの私のせいかも。心の中で謝る。


昨日なんて心配されすぎて慎にまで面談のようなことをやらされた。ほんっとすみません、巻き込んじゃって。


「失礼します。呼ばれてきました本郷です」


「あっ本郷さん。ちょっと空き教室で話しましょう」


担任の高田屋せんせーは出張で数週いないので、私たちのクラスは教育実習の先生、室井先生が仮担任をしている。


空き教室で室井先生と二人きり、向かい合わせになるように座った。


「本郷さん、授業全然出席してないですけど考査大丈夫ですか?」


「あー平気です。自宅で勉強してるんで」


…嘘だけど。
心の中でベーっと舌を出す。面倒な先生だなぁ。ポイント稼ぎかよ。高田屋せんせーはそんなことで評価はしないと思うけど。


「放課後特別に講義するのできてください」


「待ってください先生。今日は用事があるので無理です」


これ以上話してると問い詰められて不都合だ。逃げるようで嫌だけど、私は素早く椅子から立って教室から出る。


「本郷さん!!」

「すいません、失礼します」


それから三日間会うごとに室井先生は私に特別講義に招待した。ありがた迷惑の骨頂である。


「放課後一体何をしてるんです?勉強よりも重要なんですか」


「い、いやぁ〜。何してるって…ねぇ?」


言えない、不良たちと連んでるなんて言ったら強制参加させられる。人気のない廊下で問い詰められて縮こまる。


迫ってくる室井先生の腋の下を潜って走りにげる。今日こそは諦めないとそれでも先生は追いかけてきた。

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