青い星を君に捧げる【壱】
《side.風間湊》
小学校は不登校気味になりながらも卒業。中学はこの町から出たくて一つ隣の少し大きなまちの学校に入学した。


学校帰り、ふらふらと歩いていると小さく殴る音と怒号が聞こえる。つられるままに路地裏に入ると、一人の男が多くの男に囲まれて喧嘩していた。


その一人の男は確かに強い。強いけどやはり数が多すぎて押されているようだった。

___バキッ

「おいおい、一人をこんな数で狙うなんて卑怯すぎだろ」


「は?誰だよ、こいつの仲間か」


殴られたりして少しボロッとした襲われていた男が俺を見る。


「そういうことにしとけ、よっ!!」


再開だ、ととりあえず一番近くにいた男を殴り飛ばす。相手も俺が本気なのがわかると勢力は二部する。


__________
______
___

さっきまでの威勢は何処へやら男たちは道に無様に転がっている。


「大丈夫か?」

建物に寄りかかって座り込んでいる男に話しかける。少し殴られたりはしていたものの特段重傷ではないはずだ、と手を伸ばす。


「助かった。ありがとう」


腕に力を入れて男を立たせる。よく見れば汚れているものの同じ制服で、近くに落ちているネクタイの色まで一緒だ。うちの学校は学年ごとにネクタイの色が違うから、どの学年かは一目瞭然。


「風間湊だ。なんであんなに狙われてんだ」


「湊か、覚えた。……俺は黒鉄慎。歩いてたら喧嘩売られて…買っただけ」

さっきまでの機敏で力強い印象とは異なりゆっくり話すやつだ。


「ここであったのも何かの縁だしこれから飯でも食いに行かね?」


路地から通りに出るために慎と並んで歩き出す。


「……いいけど、、俺これからパフェ食べにいく予定だったからパフェのある店がいい」


「はぁ!!おまえそんな図体しといて甘党かよ」


「……甘いもの好きなのに体つきは無関係だろ」


「______」


「______」


数十分前に初めて会ったとは思えないくらい慎といるのは心地良かった。これまでずっと一人で喧嘩してきたから、視野が広がったような感じがした。

この日の帰り道、2人で見た街をオレンジに染める夕日はとても綺麗だった。

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