青い星を君に捧げる【壱】
慎は同じ学校というだけではなきく同じクラスだった。聞けば俺と同様サボることが多いし、教室にいても机に伏せて寝ているらしい。どおりであの高身長が目に入らないわけだ。


「おい慎、寝るなよ。これから昨日売られた喧嘩潰しに行くんだぞ」


「あれ…今日だっけ。忘れてた」

「しっかりしてくれ…」


慎はボケっとしてるやつだけど、それでもそばにいるからわかる。慎はカリスマ性がある男だ。こいつはこの先、人の上に立つ人間になるはずだ。



そしてまた時は過ぎ、中学では進路がどうのこうのとクラスメイトたちが忙しくしている中俺と慎は未だにどこの高校に進学するか決まっていなかった。


俺たちは中学3年生になっていた。その頃には俺たち二人は負け知らずの“最強”と言われていた。


「ヒィ、すまなかった!!もうやめてくれ!!」


「そっちから仕掛けてきたんだろうが、腰抜けがよぉ!!」


______バキッ


最後の一人を殴る。そいつは白目を剥いて地面に堕ちた。背中を任せていた慎の方へ振り返ると慎もまた今片し終わったようだった。


横に置いてあった鞄を二つ取り、一つをまだやり足りなそうな慎の方へ投げた。その時一枚の紙切れが鞄の横ポケットからヒラリと落ちる。


拾った紙には“最終進路希望調査書”だった。


「どうすんだよ、進路」


寄ってきた慎に紙を渡しながら問う。


「西…現在最強と謳われてる白虎に入るために……行くと思う」


「……そうか」


「おまえは?」


俺は決まったなくて慎と一緒の高校にするか、とか考えてたけれど…


「このままこのまちの高校に進学すっかな」


受験とかダリィし、と付け加える。このまちの高校は“名前を書いただけで入れる”と言われるほど底辺。高卒という名前さえ手に入れば良い俺には十分だった。


「3年続いた俺たち最強コンビもあと数ヶ月もすりゃ解散か」


「……離れても変わんねぇよ。俺たちは……“二人で”最強だ、だろ?」


俺に向けて慎は拳を突き出した。その手はさっきまで喧嘩していたせいで赤く傷がついている。


「ハッ、ったりめぇだ!!」


____コツン


慎の拳に自身の拳をぶつけた。ムズガユイ気がしたけれど、とても良い気分だった。離れても切れないと言ってくれたその友情が嬉しかった。
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