青い星を君に捧げる【壱】
次の日、俺たちは担任に最終進路希望調査書を提出した。


黒鉄慎____翔陽高等学校
風間湊____翔陽高等学校


「よかったのかよヤツが所属してる白虎の大半が通う桜蘭高校にしなくて」

「白虎に行ってもツキとの約束は果たせない。青龍に行って自分で見つける。お前とな、湊」


後日わかったことだがツキというのは通称で、本当の名前は月桂樹という。月桂樹は最近白虎の総長になった者だ。

そして俺たちはツキに憧れ、西には行かず東の青龍に行くことにした。なので俺たちは青龍所属のほとんどが通う、翔陽高校に進学することに。


4月、俺たちは翔陽高等学校入学した。真新しいブレザーを着崩してまだ慣れない校舎を後にする。俺の横を歩く慎の片耳には、あの日ツキからもらったピアスが揺れていた。


翔陽高校は中学のあった街からさらに離れて、さらに人口の多い場所にある。俺たちは青龍に所属すべく倉庫に向かっていた。


ツキに会って青龍に入ると決意してからずっとこの街に憧れていた。やっとスタートラインに立てたんだ。


「……ここから始まるんだな」


青龍倉庫はやはりデカかった。今まで相手にしてきたチンピラたちとは格が違う。覗いてみればちらほらと青い特攻服を着ている人がいた。その純粋な青さはまるで今日の空のようだ。


「お前ら青龍の面子じゃないな。こんなところで何をしている」


……全然気配に気づかなかった。背後には俺たちよりも大柄な男がこちらを睨んで立っている。


「総長に会いたいんだ」


「会ってどうする」


「青龍に入りたい」


「……そうか。連れて行ってやる、ついて来い」


男は一瞬考えるそぶりを見せると俺たちに目を配らせ言った。そのまま入って行ってしまった。

まさか訪れた初日に総長に会わせてもらえるなんて思っても見なかったから慎と顔を見合わせる。


「おい、なに見つめ合ってんだ。置いてくぞ」


「「す、すいません!!」」


男に困惑して見つめ合ってるところを見られて恥ずかしくなりながらも、遅れを取り戻すように走って追いかけた。


入ると青龍の多くの下っぱメンバーに好奇の視線が向けられているのを感じた。俺たちを先導していた男はその中の一人にすぐに声をかけると視線はすぐに消え、再び騒がしい倉庫内に変化した。



「こっちだ。総長は上にいる」


通されたのは2階の部屋だった。そこにはソファに寝転んで寝ている人だけ。
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