青い星を君に捧げる【壱】
《side.風間湊》

「こちらが調査結果になります」


情報屋に頼んでいた依頼の結果をもらうため俺は指定されたカフェに足を運んだ。手渡されたタブレットをスクロールする。


「……はっ、これ信用して良いんだな」


「情報屋の名にかけて」


この情報屋はここらでは1番長けている。これが本当なら……。


「リリィは生きてるってことか?」


「はい、場所までは特定できませんでしたが。……誰かが情報を綺麗に消していて、妨害しているようです」


リリィが生きている。やはり丘で会ったのは彼女なんだと確信する。絶対に見つけ出して、もう一度会いたい。


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《side.黒鉄慎》

青龍幹部室2階に設けられている幹部に与えられる自室。その日はなぜか寝れなくて、ベッドのサイドテーブルに積んであった本を適当に読んでいた。


______ガタン

廊下からかすかに足音が聞こえる。こんな夜遅くに誰が…と不審に思い読んでいた所に栞を挟んで本を閉じた。


足音の主は既に倉庫から出ていて、追って出ると少し言ったところに俺が来ることを予想していたのかソイツは立ってる。


「……湊」


「やっぱり来るか、慎」


「いくな。俺たち2人で最強だろ?」


「お前はもう1人でも強い。それに仲間もいる」


ここ最近まともに湊と話せていなかったせいか、穏やかな時間が流れる。優しい声だった。


「青龍総長として脚を折ってでもお前を止める」


俺が走り出すと湊は手に持っていた荷物を遠くに投げて受け構える。顔面目掛けて右手の拳を振り落とす。


「ッ!イッテェ笑笑」


しかし湊に止められてしまう。1年経ってもやはり俺は勝てないのか。右手を潰されるほどの力で握られ、その間俺は鳩尾に1発喰らう。膝から崩れ落ちるのをどうにか耐える。


____湊、お前の方が強いのに総長にならなくていいのか


__強いだけが総長じゃないだろ



「ごめんな、慎。じゃあな」


腕はまだ掴まれたままで自由が効かず、痛みに耐えながら顔だけ上に向ける。

なんでお前が辛そうな表情するんだよ。お前ばかりに負担かけて、俺は……。次の瞬間首に衝撃を受けて世界が暗転した。
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