青い星を君に捧げる【壱】
《side.本郷波瑠》
『今起きてるなら駅前に来てほしい』
メッセージアプリの通知音で目を覚ますと湊からの初めてのメッセージが届いていた。いつもだったら「寝てるから無理」とかって軽く流すけれど今回はすぐに起きて、着替えて家を飛び出した。
全速力で駅へと向かう。湊、ずっと悩んでた。だから放って置けなかったんだ。
「はあはあはあ、湊‼︎!」
カバンを肩にかけている彼がいた。まだ日も昇っていない早朝。駆け寄って、肩で息をする。
「そんなに慌てて来てくれたんか」
「だってハァ、あんったが‼︎」
「ハハ、ありがとな」
手を膝について息を整えていたら、頭をグシャグシャと撫でられる。別に髪をセットして来たわけじゃないし、全力疾走して来たから元々乱れてるけど湊に崩されるのは癪。
「……あんなの送られたら誰だって急ぐよ」
やっと体を上げると久々に間近にみる整った顔が。近いよ、と肩を押す。そして気づいた肩にかけているかばんの荷物が多いことに。
「出かけるの?」
「ああ、散歩に行ってくる」
湊は少しずれたのか、かばんをかけ直す。明らかに散歩の荷物じゃない。今、私が彼にしてあげられること。それは…
「そっか。行ってらっしゃい、気をつけて」
止めてあげることじゃない。見送ってあげること。
「おう、波瑠いってきます」
そういうと湊は駅前に止まっているタクシー乗り場へ歩き出す。どうして離れていってしまうのか、どうしたのって本当は聞きたいに決まってる。だって彼はやっと私を仲間だって言ってくれたから。
タクシーの陰に隠れて、湊は乗り込む。その一瞬、タクシーから手が伸びて私に向かって手を振った。
「ばか…ほんっとばかやろう」
タクシーが発進して走り出す。見えなくなるまで私は車を見つめていた。
『今起きてるなら駅前に来てほしい』
メッセージアプリの通知音で目を覚ますと湊からの初めてのメッセージが届いていた。いつもだったら「寝てるから無理」とかって軽く流すけれど今回はすぐに起きて、着替えて家を飛び出した。
全速力で駅へと向かう。湊、ずっと悩んでた。だから放って置けなかったんだ。
「はあはあはあ、湊‼︎!」
カバンを肩にかけている彼がいた。まだ日も昇っていない早朝。駆け寄って、肩で息をする。
「そんなに慌てて来てくれたんか」
「だってハァ、あんったが‼︎」
「ハハ、ありがとな」
手を膝について息を整えていたら、頭をグシャグシャと撫でられる。別に髪をセットして来たわけじゃないし、全力疾走して来たから元々乱れてるけど湊に崩されるのは癪。
「……あんなの送られたら誰だって急ぐよ」
やっと体を上げると久々に間近にみる整った顔が。近いよ、と肩を押す。そして気づいた肩にかけているかばんの荷物が多いことに。
「出かけるの?」
「ああ、散歩に行ってくる」
湊は少しずれたのか、かばんをかけ直す。明らかに散歩の荷物じゃない。今、私が彼にしてあげられること。それは…
「そっか。行ってらっしゃい、気をつけて」
止めてあげることじゃない。見送ってあげること。
「おう、波瑠いってきます」
そういうと湊は駅前に止まっているタクシー乗り場へ歩き出す。どうして離れていってしまうのか、どうしたのって本当は聞きたいに決まってる。だって彼はやっと私を仲間だって言ってくれたから。
タクシーの陰に隠れて、湊は乗り込む。その一瞬、タクシーから手が伸びて私に向かって手を振った。
「ばか…ほんっとばかやろう」
タクシーが発進して走り出す。見えなくなるまで私は車を見つめていた。