青い星を君に捧げる【壱】
そうなんだ…とケントくんについてお店に行くまでに教えて貰っていた。特にケントくんの適当武勇伝。
彼らがいつも食事を取っているお店は倉庫から近いらしく5人で揃って歩いて行った。
「ここの店長さんは青龍の元幹部の方で、俺たちの先輩に当たる人なんだぁ〜」
横を歩く彼方がそういった。その店には数分歩いただけで着いて、路地裏の隠れ家的なアンティーク調のお店だった。
______________カランコロン
扉を開けると目に飛び込んだきたのは落ち着いた雰囲気の家具が並びとゆったりとしたジャズ。
「タイショー今日も来たぞー」
大将???風間くんの呼び声に振り向いたのは確かにいかにも大将してますッ!て顔の人。皆はいつもの席なのか迷いなく奥のテーブル席に座る。
「オイッ!湊!だから俺は大将じゃなくて店長だと毎日言っとるだろうが!!」
お冷を4人分トレーに入れて彼らの座るテーブルにそっと置く。
(どっどっどうしよう……これ私完全に空気だよ)
青龍メンバーや挙句店主にも気づかれず、店の入口であたふたしている私を見かねて杏理が「こっちこっち〜笑」と手を振ってくれた。
(あっありがとう!!!!!!さっきまでただの女好きとしか見てなかったけど、アンタ良い奴!!!!!!←単純)
杏理の評価を上げつつテーブルに寄るとやっと店主も気づいたらしく、目を丸くして私を見ていた。
「は"あ"っ?!!えっ、誰の女?杏理?!てか湊一緒にいて平気なわけ!????」
「あ、あの……ご店主こんばんは。今日から彼らに監視されてる本郷と言います」
「わわわっ、こりゃまたべっぴんさんだ!それはどこの制服だ?ここらでは見ないな……」
「西だよ、転校生チャンなの彼女」
「ああ……だからか」
さすが元青龍幹部なだけあってあらかた察しがついたようだった。杏理が自分の隣の椅子に招いてくれて、黒鉄くんの正面に座った。
「お前たちはいつものでいいだろ?んで、お嬢さんは何食べる?」
と脇に抱えたメニューを広げて見せてくれ、私の分のお冷も持ってきてくれた。私はゆっくりとメニューを1度目を通したあと、《店主オススメ》と書かれていたハンバーグ定食を頼んだ。
「お嬢さん、オススメメニュー食べてくれるんだなぁ。この悪ガキどもは1度も食べてくれたことねぇんだよ」
と嘆いたのを彼らはチラリとも見ていなかった。
(お前らぁー仮にも自分たちの先輩で、先代だろぉが)
「待っててくれ!今日はいつも以上に腕によりをかけて作っちゃるから!お嬢さんのだけなっケッ」