青い星を君に捧げる【壱】
目の前にはグツグツと美味しそうなハンバーグ。これがウワサの《店主オススメ》のメニュー!!思わずヨダレが出そうになった。
みんなにも各々の《いつもの》が出されていて、さっきメニューではなかった料理もある。特別待遇なのね…。
「さぁ!たんと召し上がってくれ」
店主はニコニコと私が食べるのを見ている。右手にフォーク、左手にナイフを持って…いざっハンバーグ!!!!!!
「っっ!?!?ご店主!これは極上のハンバーグですね!絶品です!」
「ほんとか!現役JKが認めてくれたのは嬉しいなぁ」
店主のニコニコ顔がさらに輝きを増した。ごゆっくり〜と残し厨房へと消えていった店主。
「んふふ、波瑠ちゃんって女の子らしいところあるンだね、ねぇ湊」
「ケッ、俺にソイツの話を振るな。知るか」
「彼方…女の子らしいって私は女だから」
こんなわちゃわちゃした暖かい時間が懐かしく感じた。この前までは持っていたもの。……自ら手放したもの。私の大切な……。
「……ぃ……ぉ…オイ!大丈夫か」
「へっ、、だ、大丈夫」
「そうか……なら倉庫帰るぞ」
不思議そうに私を見る黒鉄くんにわざとらしく微笑みかける。変に思われたかなぁ。そんな事を考えながら彼らの1番後ろについて行くと、彼らは会計をする訳でもなく普通に外に出ようとしている。
「ド、ドロボー!!」
「お嬢さんにはまだ言ってなかったね」
「ご店主?」
「青龍幹部には代々ここの料理がタダで食べれる特権がある。まっ、俺からのサービスだよ。勿論、お嬢さんも特別」
最後にウィンクまでオマケしてくれた店主にお辞儀をしてから店を後にした。
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夜風を感じながら、潮の匂いに満ちた空気を吸い込み、私たちは倉庫に帰ってきた。昼とは違い煌々と明かりは倉庫とそしてメンバーたちを照らしていた。
そのメンバーの中から黒い視線を感じた。大勢の人がそれぞれグループを作って話している中、ひとつのグループが私を睨みつけている。
これはもしかしなくても……一波乱起きそうだなぁ、、めんどっちー
「波瑠ちゃん?なんかあった?」
「んーん?なにもないよ、さっ、ゲームの続きやろっ!」
今はまだいい。仕掛けてくるまで、知らないふりをしておこう。
水面下で静かにしかし確実に波が押し寄せる準備をしていた。