青い星を君に捧げる【壱】
「んじゃ、いってきまーす」
あれから数日経った。聡太郎から貰った新しい制服を着て、スニーカーの靴紐を結び直し家を出た。一人暮らしだから返事はない。だけど、寂しいとは思わなかった。
「あっ!オッハーみんな!(*Ü*)ノ"」
校舎に行くまでにはあの駐車場を通らなければならない。そこでいつも元気な彼方、嫌そうな顔をする風間くん、今にも寝そうな黒鉄くん、そしてたまに登校してくる杏理がいる。
だいたい私の話し相手は彼方と杏理。たまに黒鉄くん。……風間くんは話しかけてこないし、嫌そうな顔をするから無理やりには話そうとは思わなかった。
「ーーーー!ーーそれでさぁ、、」
下駄箱のロッカーを開けると上靴はあるものの、そこには紙。
「どーしたの、波瑠チャン??」
話すのを途中で止めてしまったので彼方が心配してこちらに寄ってそして、顔をしかめた。
「波瑠ちゃん……正直に答えて。いじめられてる?」
いつもの雰囲気ではないことを察した黒鉄くん、風間くんは私と彼方そして杏理が中心のそのやり取りを見ている。
「……ハァ黙ってても引き下がりそうにないね。イジメというか嫌がらせよ、ただの。転校して次の日からね、上靴に画鋲、机の中にはメッセージ付きの紙、実に古典的よ」
そうとても、古いやり方。こんなの私にとってはただのかまって欲しい悪ガキの所業。特に気にするようなことでもなかったが、彼らは違ったようだ。
「なんで!もっと早く僕らに言わないの!?そんなに頼りないかな、僕たち」
「彼方の言う通りだよ波瑠チャン。これは俺らと関わっているからやられてるんだろ?」
私のことを心配してくれる彼方と杏理は伝えなかった私に対して怒る。
「……ちがう、彼方たちが頼りないとか、そんなんじゃない」
目の前に立ち、不安げな顔を見せる2人の頭をガシガシと撫でる。私よりも身長は高いのに、可愛いなぁ……ほんと。
「ちょっ、波瑠ちゃん!!」
「なにすんのさっ!?」
「私をその辺の可愛らしい漫画の主人公だと 思ってもらったら困る。あんた達に守られるだけのお姫様じゃない。……これは"あたし"の戦いだ、手出し無用」
______________ピーンポーンパーンポーン
《全校生徒に連絡しまーす!!体育館にしゅうごう!!》
______________ピーンポーンパーンポーン
聡太郎…理事長の声が校内に響く。まだ私の言葉かそれとも放送かは知らないけれど、ポケッしている2人に「ほら行くぞ」と声をかけ、体育館に向かった。