青い星を君に捧げる【壱】
「ってことだから、私の転校手続きしてくんない?聡太郎(ソウタロウ)


私立翔陽高校理事長室。


理事長である蘇芳(スオウ)聡太郎は困惑していた。


「お、お前……突然来たと思ったら何突拍子もないこと言ってやがる」


西の方に住んでいた私だったが、とある事情で東に来た。


未だ思考が追いつかないのか、固まったままの聡太郎に、持っていたティーカップが落ちそうだと告げる。


「おねがい、聡太郎。今の私に頼れる人は聡太郎以外にいないんだ。今はただ何も聞かないで欲しい」


そう言って聡太郎の瞳を見つめた。数秒視線が絡んだ後、彼は何か考えるように静かに目を閉じる。


「わかった。何も聞かない、お前が話せる時が来るまで待とう。だけど忘れないでくれ。俺はお前の味方だということを」


「ありがとう。っと、真剣モードここまで〜!あー、疲れた疲れた肩こるわ」


緊張感に包まれた部屋に私のおちゃらけた声が響く。そう、普段私はこんな真面目キャラじゃない。


「っはぁー、なんかお前が真剣に話すから俺も息詰まるかと思った。」


そして聡太郎も熱意ある話をしていたが、普段からこんな熱血なやつじゃない。


「いやー、参ったよ。こんな冷めた空気感久々だったからビビったよ。んで、転校については任せといて。どーにかしとくよ」


渡した書類に目を通したのか手に持っていた束を目の前のテーブルに乱暴に放り投げる。


さらには、その長い足を組んで背もたれに仰け反り、天井を眺めた。


「2年A組、本郷波瑠。担任は高田屋。これでいいか?」


「うん、ありがとう。助かったよ」


______________コンコンコン

扉が開き入ってきたのは、私もよく知る人物。担任の高田屋せんせー。


「ああ、ちょうど良かった。今話し終わったところだ」


「そうでしたか、お久しぶりですねハルさん」


「うん、久しぶり。元気にしてた?高田屋せんせー」


「お陰様で、なんとか生きてますよ」


苦笑いでそういう姿に色々こっちでも苦労しているのだなと感ずる。


「それに、ハルさんに高田屋先生と呼ばれるのはちょっと居心地悪いですね」


「そうだな……だいぶ気味悪い」


「そこまで言うことないだろ、泣くよ」


昔なじみの2人に、気味悪がられ泣き真似をする。そしてそんなことをちっとも気にしない2人にさらに泣き真似をした。

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