青い星を君に捧げる【壱】
「だ、大丈夫だよ!1人で持てる」
返せと言わんばかりに風間くんに追いつき手を広げる。その様子に嫌そうな表情をする。
「いい、それよりも……俺はお前が嫌いだ。あまり青龍の奴らと仲良くなろうとすんな。歩み寄ろうとしたせいで、揉め事に巻き込まれてんだろ」
私は自惚れてもいいのだろうか。風間くんの言っていること、それはつまり私を心配してくれていると。そういうことだろうか。
じんわりと仲良くなっていく私と青龍メンバーたちの線引きの為にわざと嫌われ役をやっていると。そりゃ風間くん自身女性が苦手と言っていたけれど。
風間くんに向けて広げていた手を下ろし、お腹の前で指と指を組んだ。
「私、これまで選択してきた道に後悔はないの。それは青龍のことも一緒。みんなと過ごしている時間は短いけれど、だけど私は……みんなと笑い合えているこの時間が大好き。
護られるんじゃなくて、護りたい。もちろん風間くんもね」
「お前に護られるほど、俺は弱かねえ」
見下されるその瞳に私は微笑んだ。相変わらず風間くんは神様に見えて仕方がない。私はめっぽう彼の菫青石の瞳には弱いようだ。
「じゃあせめて半分こにするのはどうかな?」
風間くんが持っていたダンボールから何個か材料を取り出す。少しだけ軽くなったのか高さが増すダンボール。
「護るって攻撃から護るってことだけじゃなくて、精神的な重さも分け合う事だと思うよ」
「………口だけの女にならないといいがな」
「ならないよ、"私"が"私"である限りね」
それから私たちは一言も交わすことなく2人並んで歩いた。静かだけれど不思議と気まずくはなかった。むしろ自然の音が私たちを包み込み、穏やかな気持ちになる。
「結局最後まで持ってきてくれてありがとう、みんなも頑張ってね」
持っていたダンボールを台の上に置いてくれた風間くんは何も言わずにこの場を去った。私は私の戦場で頑張らなきゃね、、解けかけていた靴紐をキュッと結び直した。
バーベキュー用の野菜や肉を切ったりし終わった私はノッポ、メガネ、ミドリ髪が火起こししているだろう場所に向かった。
「なに、君たちまだ火起こせてないの!?」
周りに目を向ければ火をパチパチと鳴らし、美味しそうな匂いを漂わせていた。3人はちっとも火の気のないバーベキュー台を悔しそうに覗く。