青い星を君に捧げる【壱】
「ああ、それからここの制服できるまでは前の制服着ていてくれ。

どうせ、東の生徒はあそこの学校の名は知っていても制服までは知らないだろうよ」


あー、そっか私まだこの制服着てたんだっけ。


学校に行くと言うだけで自然と前の学校の制服を着てきたことに眉を下げた。


1年しかあの学校にはいなかった。


だけど、この制服は板についていたのだなぁと思う。習慣って怖い……


「この制服を着るのも最後だろうしね、楽しんで着るよ」


そう言ってワンピース型のセーラー服に付いていたバッヂを取り外し、ポケットにしまい込んだ。


「翔陽高校の制服はブレザーだからなぁ。ハルのワンピース姿も見納めになっちまうのか?!おい、ちょっと写真撮らせてくれ」


途中から声がガチになりスマホを探して立とうとしていたので、足をひっかけて転ばせた。


「高田屋ァ〜、ハルちゃんが反抗期よぉ〜。そのうち一緒に洗濯しないで、とか言うようになるのかしらァ〜」


「「そもそも、お前(聡太郎)の娘じゃねぇよ(ないですよ)」」


「んだよ、2人して仲良いアピールなんかすんじゃねぇ」


不貞腐れていつまでも床に寝そべっている聡太郎に、背骨に向けてかかと落としをお見舞いしようとするが、ギリギリで回避する。


「まだまだ体は鈍ってないようで安心したよ。東にいるから勘や体に油差してやろうと思ったけど大丈夫みたいね」


「油差すのに、背骨折る勢いだった気がするんですけどぉあお!!!!!」


直ぐに飛び起きて襲いかかるスピードで私の肩をぐわんぐわん揺さぶる。


「ハルさん、東は安心みたいに仰りましたけど実はそうでも無いんです。そりゃ西よりは荒れてないですけど、東にも荒くれ者がいます」


「その東の荒くれ者が通ってる高校がここ、翔陽高校だ」


______________東の荒くれ者。


多少は耳にしたことがあったが、西にいた時それほど視野には入れていなかった集団だ。


「その東の暴走族【青龍】の生徒をコントロールできる適役が聡太郎だと言われ、ここの理事長を任せられました。

僕も聡太郎と共にここの生徒を監視する役割があります」


なんで聡太郎と高田屋がここにいるのかが理解出来た気がする。


彼らは穏やかな生活を送るほど、ノロマな人間じゃない。


もっと危険とスリルが隣合わせの世界で生きていたのだから。


「まあ、私はその青龍と関わる気持ちはこれっぽっちもないからね」

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