青い星を君に捧げる【壱】
すれ違いざま俺を心配したように見たあの女。それも一瞬で過ぎていく。


「んだてめぇ!!どけやがれ!」

黒い集団も3人を追いかけるため俺の目の前まで来るが、先頭のやつの頭を片手で捕まえ吹き飛ばす。


「おいお前ら。どこのどいつか知らねぇが。俺は今むしゃくしゃしてんだよ。残念だがここは通行止めだ」

吹き飛ばした男に当たり3人ほどまた倒れる。


「お前これ以上俺たちの邪魔すると"狂乱"フルメンバーで殺しに行くぞ」


脅しのつもりか、1人相手にフルメンバーっておもくそ怖がってんじゃねえか。面白すぎて、心の中で笑い転げる。


「へえ、お前らが狂乱か。どうやら最近ウチのメンバーがお世話になったらしいな」


「ウチの、メンバー??」


「白髪に蒼色の瞳、、せっ、先輩!!こいつっ青龍の副総長ですよ!!」


先輩と呼ばれた男は瞬く間に顔を青くする。その他の男達は畏怖の感情を俺に突き刺した。


「へぇ〜知ってんなら話は早いじゃねえか、とりあえず全員拳1つずついっちゃう?笑」


「「「「ヒッッッ!!!!!!」」」」

𓂃◌𓈒𓐍


「おーい!湊、無事かぁー??」


途中で狂乱の相手を引き受けてくれた風間くんのおかげで、壱哉とノンちゃんと私の3人は何とか青龍倉庫まで逃げ切り、杏理たち幹部に報告。その後杏理と彼方と一緒に現場に戻ると……


「うわあ、、こりゃまた派手に暴れたねぇ…湊。コイツらボロボロじゃん」


「あ"あ"?!この馬鹿どもが先に俺たちに手出したんだろ?」


私たちをあんなに強気で追いかけていた黒い集団は風間くんの手によって地に伏せていた。


「これでお互いに手を出しあったことになる。近々狂乱と青龍で争いが怒るだろうね」


彼方が眉を下げながらそう言った。……争い、か。青龍側は幹部1名がいない。そうなると青龍が不利になるのだろうか。


青龍のみんなが強いことは知っている。だけど、やっぱり心配してしまう。彼らに傷ついて欲しくない。


その時暖かな温もりが頭に乗っかった。少し見上げるとそれは杏理の手。


「波瑠チャン、そんな不安そうな顔しないで笑っててよ。キミは俺たち青龍のお姫様だからね。護りたいって気持ちが1番人を強くするんだよ」


杏理は穏やかに笑顔を浮かべ、その傍で彼方も微笑んでいた。そして1人不機嫌そうな表情を浮かべる者も。


「…オイ、ソイツが青龍の姫ってどういう事だ」


「つい先程青龍の名のもとに伝達を飛ばした。『青龍に正式な姫の座に着く者ができた』と。慎の命令だよ」

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