青い星を君に捧げる【壱】
「俺は了承した覚えはねえ」
「伝達を出す前から既に青龍に出入りしている女がいることはバレてた。湊…これが波瑠チャンを護る最善策だと思うよ」
自分がいないところで話を進められ苛立つ風間くんはその後倉庫に向かうが、そのままバイクに乗りその場を去った。
私も杏理の配慮があり彼方に家まで送ってもらいその日は解散となった。
𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍
『…そっちに彼女はいるんですか、聡太郎さん』
これは面倒な人から電話がきたなぁ、と苦笑いをこぼしたのは翔陽高校理事長、蘇芳聡太郎。
手にしていたペンをクルリと回しデスクに置いた。
「んー、キミの言ってる《彼女》ってのは誰のことかな?いくら知り合いだからって情報提供できるかは分からないけど。いやー、最近はコンプライアンスに厳しいからー」
『面白がってるだろ。アンタの親戚に当たる人物、本郷波瑠』
俺がふざけているのが電話越しにも伝わってしまったのか少々言葉遣いが荒くなる彼。そして聞き出そうとしていたのは、やはり彼女のことだった。
「波瑠、ね。そんなに必死になって…会いたいの?」
『俺はアイツから《生きる意味》を教えてもらった。俺にとっては彼女がこの世界の全てだ』
「…それは《白虎12代目副総長》としてか?それとも幼なじみとして?」
白虎12代目総長ツキが消えた後を実質後を継いだのはこの男だった。ツキが治めていた頃は副総長を勤め、その座に着くのは必然だったと聞く。
『ただの、阿久津匡として彼女に会いたい。行く時も他は連れていかない』
_______白虎12代目副総長、阿久津匡。
月桂樹がいなくなった後もこの暴走族の世が荒れなかったのもこの男の影響が多大である。
圧倒的カリスマ性と力を持ち合わせ、ツキが唯一背中を任せる仲間だった。
そして彼女と幼い時から交友がある、幼なじみという関係である。
「いるよ、本郷波瑠はここにいる。楽しそうにやってるよ。ツキであることを隠し、青龍の面子と最近は仲がいいみたいで…さっき入った情報によると姫になったとか」
『そうですか、夜遅くにありがとうございました。また聡太郎さんにも近々』
____プツリ
こちらの返事を聞くこともなく遠慮なしに切られたスマホからは何の音も聞こえなくなった。
正直、匡が俺に頼ってくるのは想定よりも遅かった。もっと早く電話がかかってくると思ってたが、、、
「今夜は徹夜かなー」
椅子の背もたれに寄りかかり伸びをしてから、デスクに置いたペンを手に取って早く終わることを願いながら書類作業を再開した。
「伝達を出す前から既に青龍に出入りしている女がいることはバレてた。湊…これが波瑠チャンを護る最善策だと思うよ」
自分がいないところで話を進められ苛立つ風間くんはその後倉庫に向かうが、そのままバイクに乗りその場を去った。
私も杏理の配慮があり彼方に家まで送ってもらいその日は解散となった。
𓂃◌𓈒𓐍𓂃◌𓈒𓐍
『…そっちに彼女はいるんですか、聡太郎さん』
これは面倒な人から電話がきたなぁ、と苦笑いをこぼしたのは翔陽高校理事長、蘇芳聡太郎。
手にしていたペンをクルリと回しデスクに置いた。
「んー、キミの言ってる《彼女》ってのは誰のことかな?いくら知り合いだからって情報提供できるかは分からないけど。いやー、最近はコンプライアンスに厳しいからー」
『面白がってるだろ。アンタの親戚に当たる人物、本郷波瑠』
俺がふざけているのが電話越しにも伝わってしまったのか少々言葉遣いが荒くなる彼。そして聞き出そうとしていたのは、やはり彼女のことだった。
「波瑠、ね。そんなに必死になって…会いたいの?」
『俺はアイツから《生きる意味》を教えてもらった。俺にとっては彼女がこの世界の全てだ』
「…それは《白虎12代目副総長》としてか?それとも幼なじみとして?」
白虎12代目総長ツキが消えた後を実質後を継いだのはこの男だった。ツキが治めていた頃は副総長を勤め、その座に着くのは必然だったと聞く。
『ただの、阿久津匡として彼女に会いたい。行く時も他は連れていかない』
_______白虎12代目副総長、阿久津匡。
月桂樹がいなくなった後もこの暴走族の世が荒れなかったのもこの男の影響が多大である。
圧倒的カリスマ性と力を持ち合わせ、ツキが唯一背中を任せる仲間だった。
そして彼女と幼い時から交友がある、幼なじみという関係である。
「いるよ、本郷波瑠はここにいる。楽しそうにやってるよ。ツキであることを隠し、青龍の面子と最近は仲がいいみたいで…さっき入った情報によると姫になったとか」
『そうですか、夜遅くにありがとうございました。また聡太郎さんにも近々』
____プツリ
こちらの返事を聞くこともなく遠慮なしに切られたスマホからは何の音も聞こえなくなった。
正直、匡が俺に頼ってくるのは想定よりも遅かった。もっと早く電話がかかってくると思ってたが、、、
「今夜は徹夜かなー」
椅子の背もたれに寄りかかり伸びをしてから、デスクに置いたペンを手に取って早く終わることを願いながら書類作業を再開した。