青い星を君に捧げる【壱】
《side.黒鉄慎》

____ドタドタドタ
ガチャッ

「報告します!狂乱の監視をしていた奴らからの報告で、特攻服を着て総長、副総長、幹部たちそしてその他メンバーが出たとの模様。方角から予測するに恐らく目的地は青龍倉庫です!」

姫就任式から数日、のんびりと倉庫で過ごしていた夕方。その知らせは突然舞い込んできた。

「到着まであとどれ位だ」

一気に空気が張り詰め緊張感が漂う。ゲームをしていた杏理がコントローラーを投げ出し、先程走って幹部室まで報告に来た優に聞いた。


「さっき電話がかかってきたので、距離を考えると恐らくあと30分と言った所でしょうか」


出来れば無駄な争いは避けたかったがココに来るなら迎え撃つしかねえ、か。

俺は座っていたソファから立ち上がった。


「……準備しろ。喧嘩だ」


「うぉっしゃ!!久々に暴れるんだな!!!!!」

俺のその一声で幹部全体にエンジンがかかる。最近喧嘩がなかったので暴れたりなかったのか杏理の歓喜が響く。


「狂乱全員ボコボコにしてやる ニィッ」

「ちょっとぉ〜湊はこの前アイツらボコしてたじゃん!!今回は大人しくしててよね!」


「はあ"あ"ん""?!?!あんなんじゃ暴れたりねえよ!!」


ずいぶんと血の気の多い奴らがこの族には集まってしまったらしい。湊と彼方がガミガミと言い争っている。


「えっと~それじゃあ僕は下のメンバーにも声掛けてきますね」

優、とここから逃げようとした優を呼び止める。


「波瑠は下にいるのか?」


「はい、いますよ。どうしますか?」


「……上に来るように伝えてくれ」


分かりました、そう言って今度こそ優は出ていった。




数分もしない内に幹部室の扉は開き特攻服を着たりして準備する俺らのところに来た。

「優から聞いた」

上裸でいる俺や湊の姿を見ても顔を赤くすることもせず真っ直ぐに俺を見つめる。


「私も、ここに居たい」


波瑠ならそう言い出すだろうと予想はしてた。喧嘩なんかで怯むような女じゃないと。


「……却下だ」


車を用意させるから帰れ、と言ったはずなのに普段座っているソファにポスンッと体を預けた。


「私も青龍の仲間だよ。仲間が戦ってるのに帰るわけないじゃん」


「…おまえは姫だろ」



____いんじゃねーの。
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