青い星を君に捧げる【壱】
《side.本郷波瑠》

____いんじゃねーの。


倉庫残りたい私VS絶対に帰したい慎
このどちらも譲らぬ静かな争いに助け舟を出してくれたのは意外にも風間くんだった。


「2階なら大丈夫だろ。ここまで敵は来させねぇ」


「……何かあってからじゃ遅い」

慎の私を大切にしてくれる思いは十分に伝わった。


だけど、私は見たい。青龍の戦う姿を。


どんな風に彼らが翔ぶのか。


「慎…てめえはそんな覚悟でこの女を姫にしたのかよ。そんな弱っちぃ覚悟ならない方がマシだ」


それに……、風間くんが1呼吸おいて言葉を溜める。


「俺たち最強だろ」


無邪気に笑って慎へ拳を向ける風間くん。その拳をじっと見つめその後慎はため息を吐いた。


「…わかった」


そうして自分の拳をぶつけた。


「波瑠チャン、見ておいてね俺たちの勇姿♡」


杏理がふざけるようにその場を和ませる。良かった、杏理っていうおバカがいて。


____コンコン

「「失礼します」」

私が残る残らないの争い解決から程なくして幹部室には、ある2人が来た。


「波瑠ちゃん!ここで1人はやっぱり心配だから壱哉とノンちゃんと一緒に居てね!」


特攻服を着た2人は緊張した表情で入ってきた。


「…有事には対処頼んだ」


「「はっはいッ!!」」

それだけ告げると慎はバサりと特攻服を纏い、彼を筆頭に風間くん、杏理、彼方が続いて部屋を出ていく。


「待って…」

「……?どうした」

振り返った慎。不思議そうに私を見るみんな。

どうしても言いたくなった。
言わなきゃいけない気がした。


「いってらっしゃい、負けないで」


「…フッ、ああ。当たり前だ」


「心配しないで~波瑠チャン」
「ぜったい負けないからね!」
「……勝つ!!!!!」

この調子だと大丈夫そう。
私もかつてはそっち側だったんだけどな。


この手でたくさんのモノを壊してきた。あの居場所を護る為に。なんだってしてきた。


いつからだろう

私が壊してしまったモノが鎖のように私の動きを鈍くさせ、息苦しくさせたのは。


いつからだろう

私に向けられた恨みを叫ぶ声が、まるで幻聴のようにずっと頭の中でぐるぐるとまわっているのは
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