青い星を君に捧げる【壱】
「どうやら始まったようだ」


壱哉とノンちゃんと3人で幹部室。さっきバイクの大群の音が聞こえて、今は人の叫び声が聞こえる。


きっと青龍と狂乱の戦いが始まった。


「ごめんね2人も参加したかったよね」


「いいんだ別に。それより総長たちに大切にされてるようでよかった!」


「そう、壱哉の言う通りだ。慎さんの頼みなんだから断れるはずないよな」


それより見てみなよ、と壱哉に手招かれ倉庫の1階を覗ける小さな窓近くに行く。


「ここはマジックミラーだからね。向こうからは見えないから安心して」


その窓から1階を見ると彼らが殴り合う姿が。これが龍。彼らの舞うところ。


狂乱もなかなかの敵だとノンちゃんからさっき聞いた。東を治めるのは青龍だけど、それと対抗出来るぐらいデカい族が狂乱だと。


狂乱は卑怯にも武器を使用していた。こっちは何も持っていないのに。

青龍も狂乱も下っぱメンバーは同じぐらい倒れてる、どっちかと言うと狂乱の方が多いかも。


杏理も彼方も無事そうだし、風間くんは楽しそうに笑いながら殴っている。


そして後方にドシンと構える慎がいた。

「おいおいおい!!!戦えやシマダ!このままだと全員地に伏すぜ!」


興奮状態の風間くんがシマダ、狂乱総長を殴った相手の胸ぐらを掴んだまま挑発する。…これじゃあどっちが悪なんだか……。


狂乱メンバーがほとんど倒れて、それからやっとシマダが動いた。


「おい黒鉄、タイマンしろ」


そう言われ慎とシマダはゆっくりとその間を詰める。なんとも言えない空気が倉庫に流れる。


少しばかりの空間を空け2人は面と向かって立ち止まった。これで決着がつく。この刹那で。


先に動いたのはシマダだった。


振りかざした拳は慎に片手で払われ、逆に鳩尾に重たい1発を食らった。


「ッッグハッ!!」


慎のその一撃を見た私はすこぶる安心した。黒鉄慎は強い。


それに幹部たちも、特に風間くんは凄まじかった。彼が主の族があってもいいぐらいには。


「よし、ノンちゃん救急箱とか消毒とかってどこにあるっけ?」


「それはこっちにあるけど、勝敗見なくていいの?」


「うん。だって約束したから、慎たちと。青龍が勝つって」


それが口約束なんかじゃなくてホントに勝利を掴み取ってくるのも。
< 37 / 130 >

この作品をシェア

pagetop