青い星を君に捧げる【壱】
「慎と風間くんは?」

私たちの抱きしめ合いはいつの間にか解けていて、今は彼方に絆創膏を貼って欲しいと駄々こねられ貼ってあげていた。


「慎はあそこ。湊は他の奴ら連れて倉庫の周りで狂乱がウロウロしないように監視しに行ったんだと思う」


杏理に指さされた方には青の特攻服を片手に持ち下っぱメンバーに声をかける慎がいた。


「ちょっと行ってくるね」


その場を後にし、話している慎たちの邪魔にならないように静かに近づいた。


慎と話しているメンバーは顔を盛大に殴られたらしく頬が既に腫れてきていた。

うわ…痛そ

慎も彼の怪我を気にしているらしく、そっと触れてメンバーは痛がっている。


「はい、これ湿布。早く冷やした方がいいよ」


メンバーと目線を合わせるようにしゃがんだ慎の横に一緒にしゃがんで手渡す。


「姫さん!?ありがとうございます!!」


「姫なんてそんな呼び方いいよ。名前で呼んでよ、敬語も無しね」


「は、はる…さん」


そうそう、と頷き彼の怪我した指にも消毒をしてから包帯を巻く。


応急処置を終え次はどうしようかと見渡そうとすると、手首に横から手が伸びてきた。


「おまえ…なんで……?」

ここにいる理由かな?


「えっ?…怪我したメンバーの処置だけど」


来い、というように掴んだ手首をグイと引き上げ慎と同時に立ち上がった。なんか怒られるようなこと私したか?


とりあえずどこかに連行されるようだと思い、さっきまで目の前にいたメンバーにひらひらと手を振った。


ありがとう、と声をかけられたと思うけど慎があまりにも早く私を引っ張るから振り返ることは出来ず心の中でごめん、と謝っておいた。





倉庫の外にまで連れられ慎の歩みは止まった。うーん…いくら考えても失点は分からない。


「………」


手を離してもくれないし、何か話すような気配もない。どうしようこのまま夜とかになったら。


「……なんであんな悲しい表情(カオ)するんだ」


「悲しい……??」


「俺は……波瑠にそんな顔させたくて残らせたわけじゃねぇ」


握っていた手首を離し私と慎は向かい合った。


「お前を守りたいからここに置いたんだ」


「まもってもらわなくても私は大丈夫」


「じゃ、勝手に守らせろ…それで好きな時に"助けろ"って言え」


「そんな理不尽なことできるわけ「もっと貪欲になれ」


なんで、どうしてそこまでして


「私は、そんなことしていい資格はないの」


助けようとするのだろうか。
過去に囚われた私を。

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