青い星を君に捧げる【壱】

______________キーンコーンカーンコーン

「そろそろ行きましょう、ハルさん」


「おう、そうだな、行ってこいハル。せいぜい舐められないようにな」


手を振っている聡太郎を横目に、既に扉を開けて待っている高田屋せんせーのもとへ歩み寄った。


「舐められないようにって、誰に言ってるのさ。私はお前らと同じ出身の西を治める暴走族【白虎(ビャッコ)】の総長だよ」


______________バタンッ


重い扉が完全に閉じた後、残された聡太郎。思うことはただ1つだった。


「総長、ねぇ……」

どうしてそうなったのか深く詮索しない約束だ。だからするつもりは無い。


その時が来るまでそれまで、ただ耐えるだけ。

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「ここが2年A組です。このクラスには青龍総長、副総長、幹部の3人が在籍中です。ハルさんに言うのは気が引けますが、気をつけてください。かなりの切れ者たちです」


「うん、そうだね。気をつけるよ。それにしても面倒なクラスの担任になったね」


「聡太郎の嫌がらせですよ、まあ所詮はちょっと騒ぐのが好きなワルガキですがね。可愛いもんです」


ガヤガヤと賑やかな声がする教室に入っていく高田屋せんせー。教室の中が見えるちらりと見るとほとんど男。


「うまくやっていけるかなあ〜」


「たっかだやせんせーい!!昨日言ってた転校生は?俺楽しみにしてるんだけど」


「今呼ぶから少し静かにしろ、お前ら」


多少静かになった教室から手招きされ、1歩踏み入れる。さっきの"楽しみ"発言をしていた子だろうか。立ち上がってこちらを見ている男の子が1人。


「ええええ女の子じゃん!!!!!!!!それに清楚系美少女っ!」


「佐久間……人を指さすのはやめなさい」


佐久間(?)くんに指をさされている私を見かねて、すかさず高田屋せんせーが止めるよう口を出す。「ごっめーん」と言いながら手を合わせて謝罪している所を見ると悪い子ではないのかも……。


「今日からこのクラスの所属になりました。本郷波瑠です。よろしくお願いします」


「わああ、波瑠ちゃんって言うんだね!僕佐久間彼方(サクマ カナタ)!その制服可愛いねどこから来たの?」


近づき握手をし、手をブンブン振り回す佐久間くんにあははーと愛想笑いをする。


「おーい、佐久間その辺にしておけ。本郷さんが困ってるだろ。それにクロガネとカザマはどうした、サボりか?」


クロガネとカザマ??
教室を見渡すと確かに後ろの方の3席だけ空席になっていた。1つは私の席として、あと2つは……

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