青い星を君に捧げる【壱】
狂乱との戦いも落ち着き、気づけば梅雨の時期は明け7月になっていた。


学校から慎とふたり青龍所有の黒塗りの車に乗って倉庫に向かう。


特に会話のないまま幹部室に行くともう幹部たちは集まっていてそれぞれバラついていた。


「そーいえば慎、今年の七夕もいつも通り?」


ソファで目を瞑ろうとしていた慎に彼方は問う。


「…ああ、それで話進めといてくれ」


「りょーかい」


七夕って今月の7日だよね、、なんかあるのかな?


「七夕は青龍の創立記念日で毎年暴走して、帰ってきたら一晩中騒ぎ明かすんだ」


不思議そうにしていたのが見られたのか杏理が教えてくれる。へえ、七夕が創立記念とかロマンチックだね。


「波瑠も参加してくれるでしょお〜!??」


ソファに座ってた私を彼方が後ろからぎゅう、と抱きしめる。最近この甘え方が好きなのかよくやってくる。私こういうのに弱いのバレてんのかな……。


「私も参加していいの?」


「……強制参加だ」


暴走ってなるときっと夜だよね…その後宴ってことはその日は帰らないのかなー、とかくだらいことを考えてた。


コンコン
「失礼します」


「優、どうしたの?」


「下に来客者が。『姫に用がある』と、赤髪のセンター分けにピン付けてる男です」


赤髪の、センター分け…おまけにピン?


なんだか見覚えのあるような容姿に口元がひくつく。


まさか……


「……知り合いなのか」


「うん、多分」


「優…ここに通せ」


「わかりました」


あいつがなんの用でここに来るんだ。そもそもなんでバレた?困惑している私に気遣って心配そうに彼方が隣に座った。


ガチャ


「久しぶり…姫」


予想は的中してた。匡、阿久津匡だ。今の白虎副総長がなぜここに。


幸い白虎の顔は世間には割れてる人は極小数で匡もわれてない。その上今日は黒マスクに伊達メガネも着用している。


誰がばらしたのかはだいたい予想がついた。多分聡太郎か高田屋せんせー。でも匡が連絡するって言ったら聡太郎か。


「元気そうだな」


「そっちも相変わらずだね」


この部屋にいる幹部たちには目もくれずまるで居ない存在のように扱う匡。その様子に幹部たちの警戒心は最高になる。特に風間くんは面白そうに彼を見ている。本能で強者だって感じてるのかも。


「オヤジさんが呼んでる、帰ってこいって」
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