青い星を君に捧げる【壱】
ライトに照らされる石碑を不思議に思うと杏理が説明してくれた。


「波瑠は知らないと思うから1から説明すると、その昔暴走族のトップは『麒麟』と呼ばれる大きな族が治めてた」


それは裏の世界では有名な話で、私も無論知っている。中国から日本に伝わった聖獣からその名は取られ、東西南北もない最初は『麒麟』と呼ばれる族が中央を治めていた。



「…だけど麒麟内部では派閥が生じ結果的に麒麟は4つの暴走族に分離したんだ。それが現在まで残っている歴史ある、北の玄武に南の朱雀」


玄武と朱雀は現在も残っているが東西よりも秘密主義なところが多く、私もあまり知らない。


「東は波瑠も知ってる通り青龍。そして分裂後NO.1の座に君臨し続ける最強の暴走族『白虎』」


「その麒麟とかの話とあの石碑はなんの関係があるの?」


「あれは麒麟時代に麒麟の倉庫にあった大きな岩を4つに砕いてそれぞれの族で分け合ったんだ。麒麟があったことを後世にも伝えるために」


そうなんだ……ってなんで白虎総長の私がその話知らないわけ!?ていうかあんな岩近くにあったっけ??チッ、あとから聡太郎にでも聞こう。


「だから青龍創立記念にはいつもここの山の石碑までみんなで来るんだ」


「波瑠ぅ!ここに居たんだね!あっちにシート敷いたから座ろ」


「わかった、杏理も行こう」


シートには幹部用なのか既に慎と風間くんが寝そべって夜空を観てた。その様子は絵になるというかなんというか…やっぱ普段近くにいるから忘れやすいけど幹部みんな美形なのよね……。


「うわぁ~きれい、今年も満天の星だね」


私と彼方、杏理も2人に習ってシートに寝そべり天体鑑賞する。


「あれって有名な夏の大三角かな?」


「そうだよ。はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル、こと座のベガ。アルタイルとベガが七夕の主人公である織姫・彦星なんだ」


彼方は楽しそうに私の説明を聞いて頷く。全て一等星である三星は非常にわかりやすい。


「星に詳しいんだな、波瑠は」

彼方とは反対側の隣に寝ている杏理がそう言った。

「……人の受け売りだけどね」


「きっとその人は波瑠にとって大切な人でしょ?分かるよ、僕」


「えっ……?」


「だって話してる間の波瑠の星を見る目は愛おしそうだったし、何よりそんな覚えるまで何回も聞いてたってことは仲がいいんでしょ?」

目は口ほどに物を言うってコトバは本当なのかもしれない。彼方にそんなにバレるなんて思いもしてなかった。

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