青い星を君に捧げる【壱】
「うん、彼は私にとって大切で大好きな人」


「クスクス、そっか!!波瑠は好きな星とかあるの?」


_________ねぇ、好きな星はなに


前に私も同じことを尋ねたことがある。


「『シリウス』」


「シリウス…それはどこにあるの?」


「シリウスは冬の星だから今は見えない。でも冬になったらすぐに見つけられるよ…光り輝く青い星だからね」


見える季節が冬だと分かると彼方は落胆して肩を落とした。今見える星でも十分素敵だと思うけど…


「青い星かぁ〜、波瑠!今年の冬にまた天体観測しようね!!」


「……うん」

「杏理も慎も湊もだからね!!あっ、あとケントも居てくれるといいなぁ〜6人で冬の青い星観に来よう」


素直に返事が出来ない自分が憎かった。たった半年後かもしれないけど未来を確約するのが怖かった。


下っぱメンバーに呼ばれて彼方がいなくなって、杏理もいつの間にか消えていた。


星が綺麗で目を離すのも惜しいほどだった。







『ねえ、ハルさん……』


『ん?』


肩から伝わる居心地のいい温もり。そう、これは間違いなく彼のもの。


『ハルさんはちゃんと夢はある?』


『夢……か。そんなの考えたこともなかった』


あの人に引かれた線路を抗わずにただ歩くだけの人生。彼に出逢うまではそう思ってた。


『……俺の夢は貴方だよ、ハルさん』


彼の唇は空に浮かぶ半月のよう弧を描く。私は瞬きを数回して今まで空を見ていた目を彼に向けた。


首を傾げる私を見て彼は笑い「つまり、さ」と付け加えた。



『ハルさんがしたいこと、全部叶えてあげたい。貴方が望むことすべて』


彼から紡がれる言葉のそのどれもが、私を夢心地にさせた。


『貴方が笑って自由に生きられる世界にしたい。そんでさ、その時俺が貴方の隣にいたい。』


これが俺の夢、と私を真っ直ぐに見つめながら言った。赤い瞳にミルクティー色の髪が輝く。


______________佑真

あなたがいてくれたから


あなたが私を連れ出してくれたから


あなたが守ってくれたから


私は幸せだったよ

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