青い星を君に捧げる【壱】
《side.風間湊》
『わたし、███』
もうすぐで夏がくる
彼女と出会ったあの夏が。
夏の匂いがすると必ず見る夢がある
あの日から幾度も俺は手を延ばせずにいる
『湊がいてくれて楽しかった』
その姿をただ呆然と
あまりにも綺麗に微笑むものだから
頼むから…俺を置いていくな、███。
「ゲホっ…ゴホゴホ」
一気に意識は浮上して、見ていたのは夢だったのだと思い知らされた。誰かの心配する声がする。
これはあの女の声…たしか今日は倉庫に泊まってたのか。来るな、そう制止してもあの女は怖気ず近づいてくる。
「来んなって言ってんだろ!!!」
横になっていた体を上げてソファに座りながら怒鳴る。止まらない涙に嫌気がさした。
『忘れないで、わたしのこと。そして苦しみながら生きて』
体の奥からモノが逆流するような感覚。きもちわるい。
…やべ…吐きそ……
その時そっと熱くなった首裏に冷気が当たった。
「…それ飲んで、そんでちょっと落ち着け」
さっき突き放したはずの女は水の入ったペットボトルを俺に渡し、受け取ったのを見ると隣に腰を下ろした。
「どんな夢を見たのかは聞かない。だけどね、私も見るよ嫌な夢」
怖いよね〜、リアルでさ、とケラケラ女は笑う。
受け取った水の蓋を開けて1口飲む。冷たくて今までの苦しみがスっと静まっていく。
「違う、ちがうんだ。嫌なんかじゃない。この苦しみはアイツが俺に残したモノだから。……アイツを愛した、俺への罰なんだ」
それ以上、女も俺も口を開くことはなかった。しばらくして俺が落ち着いたのが確認できたからなのか、女は何も言うことなく部屋から出ようと立ち上がる。
「……本郷…ありがと」
「っ!?…ふふっ、おやすみ」
『わたし、███』
もうすぐで夏がくる
彼女と出会ったあの夏が。
夏の匂いがすると必ず見る夢がある
あの日から幾度も俺は手を延ばせずにいる
『湊がいてくれて楽しかった』
その姿をただ呆然と
あまりにも綺麗に微笑むものだから
頼むから…俺を置いていくな、███。
「ゲホっ…ゴホゴホ」
一気に意識は浮上して、見ていたのは夢だったのだと思い知らされた。誰かの心配する声がする。
これはあの女の声…たしか今日は倉庫に泊まってたのか。来るな、そう制止してもあの女は怖気ず近づいてくる。
「来んなって言ってんだろ!!!」
横になっていた体を上げてソファに座りながら怒鳴る。止まらない涙に嫌気がさした。
『忘れないで、わたしのこと。そして苦しみながら生きて』
体の奥からモノが逆流するような感覚。きもちわるい。
…やべ…吐きそ……
その時そっと熱くなった首裏に冷気が当たった。
「…それ飲んで、そんでちょっと落ち着け」
さっき突き放したはずの女は水の入ったペットボトルを俺に渡し、受け取ったのを見ると隣に腰を下ろした。
「どんな夢を見たのかは聞かない。だけどね、私も見るよ嫌な夢」
怖いよね〜、リアルでさ、とケラケラ女は笑う。
受け取った水の蓋を開けて1口飲む。冷たくて今までの苦しみがスっと静まっていく。
「違う、ちがうんだ。嫌なんかじゃない。この苦しみはアイツが俺に残したモノだから。……アイツを愛した、俺への罰なんだ」
それ以上、女も俺も口を開くことはなかった。しばらくして俺が落ち着いたのが確認できたからなのか、女は何も言うことなく部屋から出ようと立ち上がる。
「……本郷…ありがと」
「っ!?…ふふっ、おやすみ」