青い星を君に捧げる【壱】
着いたのは____墓地。


車から降りると匡が大きな花束を手渡してくれた。車に積まれていた花束は2つ。


「もうひとつも一緒に渡してくるよ」


「いい。俺も挨拶しに行く」


そう言ってもう1束は匡の腕に。
花束は百合で出来ていて、7月24日には毎年こうして百合を抱えてここに来る。


少し歩くと綺麗に並ぶお墓とは別の区画に西洋の墓がある。

「In Loving Memory」
《Isla Cavendish》

愛すべき想い出と共に
アイラ キャベンディッシュ


私にとって大切な人。
なのに私には名前を口にすることは許されない。ここを訪れるのは私と、匡しかいない。

それなのに墓には私が置いた花とは別の花束があった。それも新しい。


「匡最近来たの?」

「…いや…前に来たのは先月だ」

通りすがりの人が寂しそうだからって置いて言ってくれたのだろうか。


疑問は残るものの墓の前にしゃがみ、手を合わせる。後ろでは花を持ってるため手は合わせられないが匡も腰を落としていた。


「……今年も来たよ。今日で18になったんだ。いい事なんて1つもしてないけど、でも今の生活楽しいんだ。…まだ近くで見てくれてるのかな……じゃあ、また来るよ」


私と匡は立ち上がり数ブロック先の別の墓へと足を向けた。


匡から花束を受け取る。こっちにも百合が入っていてブルースターという花も混じっている。


「…ほんとありがとう匡」

「何を今更」


こっちの墓には沢山の花やらお菓子やらが供えてあった。……今でも彼は多くの人から慕われてるんだなぁ。


「……佑真。私今は白虎に居ないの。東に住んでる。凄く楽しいんだ。……だからもう少しだけ見守っててくれないかな。また来るね」


そう告げて私は立ち上がり、振り返ると匡が四角い箱を手渡してきた。


「……誕生日、おめでとう。これが佑真さんから預かった最後の贈り物だ」
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