青い星を君に捧げる【壱】
そうしてビーチバレーを楽しんだのは昨日。本気ではしゃいでしまった自分が恥ずかしい。


そして今夜は近くで花火大会があるので、青龍幹部一行は浴衣をそれぞれ別荘にあるのを借りて着付けしていた。


「あれ、そう言えば波瑠って自分で着付けできたの?」


「できるよ、実家でよく着物とか着させられてるから」

既に浴衣を来た彼方が男たちの準備を待つ私の元に来る。


「随分古風な家系なんだね波瑠ん家」


「そっちの着付けも意外な人だね」


まさか風間くんが着付けしてるなんて。今は慎の浴衣のお世話をしている。


「湊の家は昔からある家らしくてね、それでできるみたい」


最後の慎の着替えが終わり、みんな揃って別荘をあとにする。花火大会は21時からなんだけど、出店が多くあるのでそこにも夜予定だ。


「これ絶対迷子勃発するやつじゃん…」


「とりあえず波瑠が一人にならなければなんとかなるよ…」


「杏里それってどういうことよ。私そんなにおてんば娘だと思われてんの?」


「……ちげぇ。今のお前を一人にしたらそこらの男どもの餌食になるのなんて目に見えてんだろ…」


最後尾にいた慎がいつかの時みたいに私の腕を掴む。そこまでしてもらわなくても平気なんだけどな。むしろいざとなれば返り討ちにできるし。

けど今の私は彼らにとってそういう女の子だと認識されている。ちゃんと普通の女子高生に溶け込めているんだ。


「まず何しようか!」

「僕お腹減ったから焼きそば食べたいなぁ〜‼︎」

彼方を先頭に人混みを割って歩き出す。焼きそば屋まで辿り着くのに途中風間くんが女性から逃げるのに脱走したり、彼方と杏里がナンパされまくったりと本当に疲れた。


お目当ての焼きそばとその他近くの出店で買った食べ物を持って、慎おすすめの花火がよく見える秘密の特等席に向かう。


「おいー慎、まだ登るのかよ。浴衣が鬱陶しいったらありゃしないぜ」

「……ここだ。小さい時からここの花火大会はこの場所で見てんだ」


そこは本当に秘密の場所と言えるところで、ちょうど木々が開けていて祭りが一望できる。私たちはそれぞれその場に座る。


「母さんと妹と兄貴と一緒に3年前まで来てた」


隣に座る慎が話を続ける。


「…3年前?」


「ああ、母さんと妹は3年前に…兄貴は去年」






____死んだんだ
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