青い星を君に捧げる【壱】
「え……ちょ、ちょっと待ってよ。私昨日、慎のお兄さんだって人に会ったよ」
あれが、幽霊だって言うの?と困惑する私は慎に問いかける。だって私の髪だってちゃんと触ってた。
「……昨日?」
「うん慎たちがビーチバレーやってて私が1人のときに」
時間になったのか夜空に大きな光の花が咲き誇る。それを見つめる慎の瞳にも花は映り込む。
「金髪で扇子が2個付いたピアスつけてる人」
「金髪に扇子のピアスって、あいつの特徴まんまだな」
聞くことに専していた風間くんが口を開く。顎に手を当てて考えるように空を見上げる。
「お前やつに遊ばれたのかもな」
「誰なの一体」
「南の朱雀総長、A(エース)。この土地は東西南北のちょうど中央に近い。どの4つの族の奴が通りかかってもおかしくない」
聞いたことがある。朱雀とは残念ながら遭遇したことがない。容姿の噂だって。
「エースは慎の名前を知っていた。この裏の世界では未成年の本名が出回ることはない。たとえ知ったとしても流すことはタブーだ」
そう、だから暴走族の幹部たちはそれぞれ通り名を持っている。白虎なら花、青龍は石。花言葉、石言葉から本人に合うものが選ばれる。
そして、朱雀はトランプである。総長はエース、副総長はジョーカーという具合に役職で代々受け継がれるシステムだと聞いたことがある。
「慎の名前を使って何か企んでるんじゃない?湊、調べてよ」
「んで俺なんだ。お前が行けよ彼方」
「……今はまだ被害があるわけじゃない。大人しくいとけ」
確かにそれが最善かな。それに昔麒麟から4つに分裂してからの掟みたいなものだけど、東西南北四族が争い合ってはいけないことになっている。
数十年前、愚かにも東西____青龍と白虎が抗争になった時があったという。結局両者の決着はつかなかった。そしてその抗争は多大な被害を出した。
以来東西の仲はより劣悪になった。今はまだましだが。その抗争を『東西事変』と呼ぶ。
私たちは各々花火を見上げながら何を思っていたのか。それは本人たちにしか分からない。
だけど確かなのは、水面下で何かが動き出しているということ。
そして私たちの別荘での生活は最終日、3日目に突入した。
あれが、幽霊だって言うの?と困惑する私は慎に問いかける。だって私の髪だってちゃんと触ってた。
「……昨日?」
「うん慎たちがビーチバレーやってて私が1人のときに」
時間になったのか夜空に大きな光の花が咲き誇る。それを見つめる慎の瞳にも花は映り込む。
「金髪で扇子が2個付いたピアスつけてる人」
「金髪に扇子のピアスって、あいつの特徴まんまだな」
聞くことに専していた風間くんが口を開く。顎に手を当てて考えるように空を見上げる。
「お前やつに遊ばれたのかもな」
「誰なの一体」
「南の朱雀総長、A(エース)。この土地は東西南北のちょうど中央に近い。どの4つの族の奴が通りかかってもおかしくない」
聞いたことがある。朱雀とは残念ながら遭遇したことがない。容姿の噂だって。
「エースは慎の名前を知っていた。この裏の世界では未成年の本名が出回ることはない。たとえ知ったとしても流すことはタブーだ」
そう、だから暴走族の幹部たちはそれぞれ通り名を持っている。白虎なら花、青龍は石。花言葉、石言葉から本人に合うものが選ばれる。
そして、朱雀はトランプである。総長はエース、副総長はジョーカーという具合に役職で代々受け継がれるシステムだと聞いたことがある。
「慎の名前を使って何か企んでるんじゃない?湊、調べてよ」
「んで俺なんだ。お前が行けよ彼方」
「……今はまだ被害があるわけじゃない。大人しくいとけ」
確かにそれが最善かな。それに昔麒麟から4つに分裂してからの掟みたいなものだけど、東西南北四族が争い合ってはいけないことになっている。
数十年前、愚かにも東西____青龍と白虎が抗争になった時があったという。結局両者の決着はつかなかった。そしてその抗争は多大な被害を出した。
以来東西の仲はより劣悪になった。今はまだましだが。その抗争を『東西事変』と呼ぶ。
私たちは各々花火を見上げながら何を思っていたのか。それは本人たちにしか分からない。
だけど確かなのは、水面下で何かが動き出しているということ。
そして私たちの別荘での生活は最終日、3日目に突入した。