青い星を君に捧げる【壱】
「なぁ〜んで俺がお前らのケーキ食べ放題に付き合うハメになってんだこの!」

私たちは三日間お世話になった別荘を出て、近くの街でケーキ食べ放題に来ていた。それはそれは熱いご所望があって。

「…総長命令だ」


「なにが総長命令だ!!帰ってから勝手に行けよ!」


「って言いながらついてきてる湊、可愛いね!キャッ」


「てめぇら…昨日も言ったがここは青龍のナワバリじゃないんだからな!」


「まあまあ風間くん。これでも食べて落ち着きなされ」


私はキレ気味の風間くんの口に今買ったばかりのソフトクリームを突っ込む。目を白黒させて驚く風間くんに吹き出してしまった。


「……次行くぞ」


「しいいんんん!!!!次じゃねえよ!」


青龍1の甘党男、黒鉄慎の勢いは失せるどころか増していき私たちは2時間も彼の食欲に付き合わされたのだった。


「慎、満足した?」


「……ああ。来年はこの通りの向こう側行くぞ」


「あーあもう来年の話してるよ」


一行は手配していた帰りの車へと向かっていた。

甘いもの巡りしてる時は慎に圧倒されたり、風間くんがゲロるのを阻止したりと忙しかったかは気づかなかったけど、ここ意外に不良が屯してる。


ここに来るまでに何人もそれっぽい人とはすれ違ってるし、今だって数十メートル先には座り込んで騒いでる不良らしき人達が。


「それにしてもよ良かったぜ。白虎とか厄介な奴らと遭遇する前にウチの総長さんの食欲が無くなってくれて」


「でもでも〜白虎と会えたらそれはそれで聞きたいこと聞けるしいいんじゃない?」


風間くんは何かと他の四族と遭遇するのを嫌がるのはなんでだろ。彼は青龍1の戦闘狂な気がするけど。「強いヤツと拳で勝負してぇ!」とか言ってそうだもん。


「知るか。そもそも白虎が仲間…それも頭の情報そうペラペラと話すかよ」


「ねえねえ……お兄さん達。白虎白虎ってうちの族に何か用?」


風間くんの方を見ていて全然気づかなかったけど、さっき先にいた不良たち3人の目の前を通り過ぎたところだった。


そして3人の内1人が話しかけてきた。きたんだけど…今"うちの族"って言った?ていうか聞き覚えのある声に冷や汗が垂れる。


「……お前らもしかして、白虎なのか」


先頭を歩く慎がピタリと止まり振り返る。それに遅れて私たちも声の主へと顔を向ける。
< 66 / 130 >

この作品をシェア

pagetop