青い星を君に捧げる【壱】
あーあ、面倒事は嫌だってのに。なんだってコイツらが今ここにいるんだよ。


そこに居たのは現役白虎幹部3人。つまり私があたしだってことを知る数少ない人たち。

3人から見れば私は1番後ろにいた風間くんと杏里で見えてない。バレなきゃいいけど。


話しかけてきた男は串団子を咥えながら呑気に私たちを見上げている。


「うーん俺たちアンタらに噂されるようなことしたっけ?モグモグ」


「最近は族潰すぐらいしかしてないから潰した族にいたやつとか?」


「ちゃうやろ…それに1番に反応したそこの黒髪。あんた1年前に倉庫まで1人で来たやつちゃうか」


慎を平らげた串で指しながら言う。倉庫に総長1人で乗り込むってなにしてんだか。


それにしてもこの状況、私にとっては何も宜しくない。どうすれば……。


「もう帰るとこだったってのに厄介な奴らに会っちまったもんだぜ、なあ白虎。俺らは東の青龍だ」


風間くんが文句を垂らしながらも私たちの正体を明かす。そうすんなり教えていいのか。


「へえ!!青龍!それは潰し甲斐があるな……って言いたいところだけど。残念、うちのお頭が怒っちゃう。それにアンタら女連れだし、ね?」


風間くんの影に隠れていた私を身を乗り出して見てウィンクする。……アイツら気づいてて遊んでやがる。それでも私の正体を言わないところを見ると優しさがあるのか、ただ楽しんでるだけなのか。


「それにここにいるの全員幹部やねん。青龍潰すってなったら副総長か総長の判断がなきゃできん」

「来てるの?副総長と総長も?」


このヤンチャ3人組がいるなら副総長である匡もいるはずだ。こんなん放っておいたら、周りの族めちゃくちゃになるのが目に見えてる。


それに毎夏に白虎幹部たちは中央へ遠征(?)的なことをしてる。迷える強者を仲間に引き入れるため。だから匡もいるはず。


だけど、この場に匡が来てしまったら。それはそれは取り返しのつかないことになる!!!頼むっ来るな!


「いる。2人ともな」


ピースして楽しそうに話す。おい、2人ともとか言うな。確かにいるけど、いるけど言うな。


「……ツキはどこだ。どうしても会いたい」


「ウーン。月桂樹はどこにでもいるし、どこにもいない。だから案外あんたらの近くに潜んでるかもね」


ま、知らんけど!ととぼけるバカ。慎の納得のいかない顔を見て口角があがる。

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