青い星を君に捧げる【壱】
それにコレ見てよ、と佐久間くんのスマホの画面を私に見せる。
「ウチの総長様が波瑠ちゃんに興味示しちゃったみたいっ」
キャッと乙女のような反応の佐久間くんを無視しスマホを凝視する。
《お友達の転校生連れて上集合》
「え~~~っと、私平和でキラキラな女子高生生活送りたいのだけれど」
「あああんしんして!俺たちといても波瑠ちゃんは安心安全ライフ送れるよ。ここらに青龍に喧嘩売ってくるおバカさんいないからね」
ってわけでレッツゴー、と元気に走り出す佐久間くん。そしてその彼に腕を掴まれている私も足どりが重たいがついて行った。
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屋上には鍵はかかっておらずアッサリとその扉は開いてしまった。
「よーこっそ!ここが俺たちのいつも過ごしてる場所だよ、空が近くてキレイでしょ?
夏になると向こう側にある別棟の屋上にはプール授業の為に水が張るんだよ」
今は春だから水は入っていないけれど確かに向こう側には水色のプールらしい姿が見える。
佐久間くんが歩いていった方に足を進めるとそこにはさっきまで教室にいた黒鉄くんと風間くんがいた。
「慎、転校生ちゃん連れてきたよ」
「うっげ慎、何の為に呼んだんだ」
人の顔を見るなり舌を出して嫌がる風間くんの様子に表情が引き攣る。……呼んだのはアンタのとこの総長だっつの。
肝心の総長様は………寝てるし。
「ねえ、すっごくスヤスヤ寝てるね。顔面蹴っ飛ばしたいくらいに」
笑顔で言ったものの手元を見ると握った拳を震わせている。それを見た佐久間くんは顔を青く染める。
「……おい起きてんだろ慎。目開けねぇとこの女に殴られんぞ」
「…へっ?」
起きてるって、コイツが??
すると顔に影を落としていた長いまつ毛が瞼と共に上がった。僅かに開いた切れ長の目から私をちらりと見る。
「ああお前か。そういや呼んだっけ」
「なに?理由もなく呼んだわけ?とんだお騒がせ野郎だな( ・´ー・`)」
呆れたぁ〜と愚痴を零すと近くにいた風間くんの座る椅子の隣に座った。目に見えて嫌な顔するんだな、こいつ。
「ちっ、近寄んな!!!!!!」
「へぇなに?女が怖いわけ(笑)そんな大きな図体しているのに」
舐めんじゃねぇ!!と隣から大声を張るのを予想して全力で耳を人差し指で塞いだ。何か文句を言ってるようだけど、
「ぜっんぜんきこえましぇーん(笑)」
結構からかいがいがあって面白いじゃん。最初はただの女嫌いの生意気坊ちゃんかと思ってたけど、どうやら違うみたい。