青い星を君に捧げる【壱】
私と杏里が向かい合って座り、彼方は私の隣。慎はいつものところ。そして風間くんは話を聞くつもりは全然ないのかソファに寝そべっている。でも寝てはなさそう。


「これを杏里に渡した女の子の名前。泉明日歌(イズミ アスカ)、で合ってる?」

「何で波瑠が明日歌のことを知ってるんだ」

やっぱり明日歌の名前覚えてるじゃん。


私は握っていたドライフラワーのキーホルダーをテーブルに置いて杏里の前にだす。これは彼女がサイゴまで大切に握っていたものと同じ。

私と杏里が初めて会った時。杏里のスマホについているキーホルダーはこれだったのかと思う。


「明日歌は…私の親友、“だった“」


「だった?」


「私が東に転校してきた理由、話してなかったよね。探しにきたの、そのドライフラワーの片割れを持っている男の子。やっと見つけた」


私は嬉しくて笑って見せた。


「明日歌は元気か。あいつばかだからカゼなんて引かないか」


杏里の問いかけに答えることなく私は自分の話を続ける。


「杏里、話してくれないかな。二人のこと。杏里と明日歌の話。」


「俺と明日歌の?」

「知りたいんだ。真実を」

私の目をじっと見つめてそれから杏里はソファに体を沈める。

「長くなるからみんな楽にして聞いててよ」
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