青い星を君に捧げる【壱】
それからというもの俺は週に1・2回は登校するようになった。席は五十音順だったこともあり明日歌とはちょうどお隣同士だった。


多分自覚はしてなかったけど少しずつだけど、明日歌に惹かれて行ってたんだと思う。


「なぁ今度の日曜、一緒に出かけね?」

三時間目の退屈な数学が終わり教室に賑わいが戻ってきた時に俺は明日歌に聞いた。


「次の日曜日は…えっと…空いてます!」


明日歌はピンク色の可愛らしいスケジュール帳をカバンから取り出し確認しながら言った。


「よかった、じゃあ約束な」


約束も取り付けられたし帰ろう。あの担任に出ていくの見つかる前に。そう思って立ち上がり後ろのドアへ向かう。


「じゃあ俺帰るから。また日曜にね。時間とかは後から連絡するよ」


____ぽん

彼女の後ろを通る時に頭に手を置いて俺は教室から出る。


「ふんふんふーん♪」

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そして当日。デート…と言ってもいいのだろうか。明日歌とのお出かけ場所に決めたのは、ありがちだけどショッピングモールにした。あそこならあの子の好むもの一つくらいはあるだろうし。


待ち合わせは明日歌の最寄り駅。そこから地下鉄に乗って行く。下調べは完璧。今日はクールに決めてやる。


「あっ!杏里くん」

しばらく話しているうちに明日歌はサラッと苗字呼びから名前を呼んでくれるようになった。

小走りで俺のいるところまで来ると「おはよう」と笑顔を見せる。


「いつも制服しか見てなかったから、雰囲気違ってて分かんなかったよ」


「それは明日歌も。可愛いね」


もちろん制服も似合ってるけど、やっぱり私服は可愛かった。清楚な感じでホント今まで遊んできた女の子とは全然違う。


「行こう」


俺は向かい合う明日歌の手を引いて歩き出す。


今日は休日で混んでたから、迷わないために手を取った。そう、それだけ単純な話。頭ではそう考えてるけど、きっと心の中では違ってる。


でもその"恋心"に気づくのはほんのちょっと後の話。
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