青い星を君に捧げる【壱】
そんなこんなで風間くんにかまっている時に、ついに黒鉄くんが動いた。

さっきまで煩かった風間くんも黒鉄くんの一声を息を飲むように待つ。


「……黒鉄慎」


「うん、知ってる」


……………ヒュー


思わず全力で後ろを振り返りそこにいる風間くんの肩を引き寄せ顔を近づける。

「顔を近づけんな!!」


「ねえちょっと。アンタのとこの総長様だけ時間の進み方おっそくね?え、なに0.25倍速ぐらいになってるけど大丈夫そう?」


「そうなんだよなあ、慎は……ってちげえよ、お前も自己紹介すんだよ。てか手を離せ」

べシッと風間くんの首を掴んだいた腕を叩き落とされる。


「……イッターイ、オトメニナンテコトヲ」


「反応が遅いしカタコトなんだよ!てかてめえはこの俺を引っ張るほどバカ力だろ、乙女でもなんでもない」


「ちょっと湊と波瑠ちゃん……慎がすっごく睨んでるよ」


佐久間くんにそう言われ2人して瞬時に振り返り黒鉄くんの顔色を伺った。


「お前……西から来たのか」


「そ、そうだけど。ソレが何かした?」


「白虎……西を治める暴走族を知っているか?」


______________白虎

その言葉が聞こえた時私は動揺を隠せただろうか。


「知らないよ。そもそも暴走族に私興味ないし。そう言えばアンタたちも暴走族なんだっけか」

そう言って元の場所に座り直した私。隣にいる風間くんから疑いの目が向けられる。


「お前青龍を偵察しに来たんじゃねえのかよ」


「何バカなこと言ってんのよ。暴走族偵察しても私になんか何一つ知ったこっちゃない」


暖かい光の中で眠気が襲い、欠伸をしながらそう答える。それもそうか、と風間くんは納得してくれたようで私から目を離した。


「波瑠ちゃんがそんな悪い子なわけないよ、ねぇ〜」


佐久間くんが可愛らしく言いながら私と風間くんの座る間にダイブしてきた。狭めぇと文句を垂れる風間くん。


「……それでも、西から来たヤツを…ほっぽってはおけない。しばらくは俺たち青龍幹部の目の届く所にいてもらう」


さっきまで黙って考え込んだような仕草をしていたがそういうことか。つまり私を疑っていると。まあそうよね。急にこの2年生というタイミングでの転校だ。仕方ない。


「それさえ守れば私は普通に生活していいの?」


「ああ約束しよう」


「……分かった。多少の不満はあるけれど、守るよ」
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